第二百六十二訓 ページ27
土方side
「…アメとムチを片方ずつやるから飲まれるんです。なら二つともやればいい。アメとムチとは謂わばツンデレの原理、女の私に分があります」
土方「…いけるのか」
「近藤さんであのザマです。きっと私も無傷ではいられない。けど、やるしか道はないでしょう」
その顔はいつものふざけた様子ではなく真剣そのもので、本気なのだと悟った。想像以上に強敵であると今までの奴の言動を見て思う。
近藤さんが飛んで来た際に扉は壊れてしまったので扉があった場所を通り、取り調べ室の椅子に座ったAを黙って見る。
少しの沈黙があってから、Aがこちらに振り返ったと思えば「すいませーん、お願いしまーす!」と誰かを呼び始めた。
思わず「は?」と零せば、ガチャっと俺達の後ろの扉が開き、ムチを持った"そういう店"にいる"そういう格好"をした"そういう人"、所謂、嬢が入って来たのだ。
嬢はそのまま俺達の横を通り過ぎ取り調べ室に入ったと思うと、見た目通りに殺人鬼をムチで打ち始める。
土方「…いやちょっと待てェェェ!!アメとムチのムチってそっちのムチじゃねーんだよ!!アイツのツンデレの解釈どうなってんだ!!」
「あっはい、そのまま後十回くらい…金ならあそこのV字が……はい、ありがとうございました」
土方「オイV字って何だ!さらっと俺にツケ回そうとしてんじゃねーよ!!」
俺を指差しながら嬢に指示するAに怒鳴るが、まるで声が聞こえてないかのように話がどんどん進んでいく。ドアが壊れて開放されたのだから、絶対にワザと無視している。
そんな嬢も役目を終えて帰った後、「ごめんね、あの子もワザとやった訳じゃないの」と、自分が指示した事にも関わらず、知らぬ存ぜぬの顔で殺人鬼に謝り出した。
「昔から恥ずかしがり屋で、人とコミュニケーションも上手く取れないような子で…どうか許してあげてほしいの」
土方「恥ずかしがり屋があんな格好でムチ打つ訳ねーだろ」
「…ありがとう、優しい人なのね」
土方「いやまだ何も喋ってねェから。痛かったんだよ、あまりの痛みに声も出ねーんだよ」
「そんな優しい貴方なら…ねぇ、私の悩み事聞いてくださる?」
土方「あんなムチ打ちされた後じゃ脅しにしか聞こえねーよ。つか何だ、あの鼻に付く喋り方」
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凛音 - 夢主ちゃん大丈夫よ‼︎!もしお嫁に行けなくなっても私がもらうからッッ!(私は女です) (2022年3月27日 9時) (レス) @page37 id: 7001d6b560 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» 加兵衛さん本当に良い人過ぎて一家に一人はほしいですよね(?) ひたすら励みになるコメントありがとうございます!全身全霊で更新し続けますっ!! (2020年6月14日 0時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 加兵衛さんが素敵なことをおっしゃっていたので私も…!作者さんの作品、すごく面白いです!最初出会ったとき「こういう作品が読みたかった」って思えたくらいです(*^^*)これからも作者さんが更新続けられる間、付いていかせてください(*´∀`) (2020年6月13日 8時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ああああさん» なんて素敵な感想…大声で読み上げました、好きですのところ。めちゃくそ嬉しいです!ありがとうございます!! (2020年5月17日 1時) (レス) id: 3fe6b67371 (このIDを非表示/違反報告)
ああああ(プロフ) - おもしろ度31票にしておきました。昨日読み始めて面白くて秒で読みました。好きです頑張ってください (2020年5月13日 10時) (レス) id: c8a52e8fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2020年4月22日 23時