第二百十九訓 ページ33
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複数人の仲間と共に戦うよりも自分一人のペースで戦う方が私に合っている、と常々思う。
自分と敵以外に誰かがいると、それが視界をチラついて上手く集中が出来ないのだ。嫌味とかではなく、どうしても他の人より優れていたから援護しながらの戦闘で余計な手間が掛かってしまうのが苦だった。
…職業柄、慣れてきたが。
確かに旦那は強いからそこまで気にはならなかったけれど、やはり"一人だ"という気持ちのある分、思い思いに動ける。
そのお陰か、それとも"呪いの力"なのか、毒の回るこの体でもいつも通りとはいかないが動けてはいる。
決定打に欠けている状況にもどかしさを感じ、もう少し攻めの姿勢を出す。
鳳仙が振り下ろした番傘を上に飛んで躱したように
彼の様な丈夫な相手には"斬る"というよりも"刺す"の姿勢で行った方が致命傷を与えられる。なので、彼の顎を真下から思い切り突き刺した。
刺した刀は狙い通り鳳仙の顎を貫いたのだが、何故かそれ以上深くは刺さらなかった。脳天まで貫く予定が狂わされ、刀を見れば鳳仙の手が刀の刃を握り締めている。
どうしてバレたのかは後で考えるとし、次の動作へ移るため一旦鳳仙から離れようとするも簡単に逃がして貰える訳も無く、足を掴まれた。
視界が180度変わり、持っていた刀が乾いた音を鳴らして地面に転がった。
…殺気を読まれたのか。
と結論に至った時には、だらしなく垂れ下がっていて。反転して映る景色と此方を睨む鳳仙とを眺める形になってしまっていた。
…顎を刀で貫かれたのだからもう少し辛そうにしてくれても。どこまでも癪に触る奴だな。
鳳仙「惜しかったな、ハンデさえ無ければもう少し楽しめそうだったものを。所詮、鬼子と言えどその程度か」
「…強がんなよ、顔面血だらけだぞ」
鳳仙「その減らず口も鬼譲りか?威勢の良さだけは褒めてやろう」
お互い睨み合っているが、何せ逆さまな状態なので頭に血が上る。無理が祟ったのか、口の中に鉄の味が広がり、噎せそうになるのをなんとか堪える。
投げてもいいからそろそろ離して頂けると有り難い。
__ふと、鳳仙の後ろに目を遣ると、先程行き別れた金髪の女性が視界に映った。その他にも多くの人。
安堵するにはまだ早いが、明らかに変わるであろうこの戦況とやり切ったという達成感で一気に気が楽になった。
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凛音 - みんな春雨春雨言うからチャプチェ食べたくなってきた((( (2022年3月22日 15時) (レス) @page12 id: 7001d6b560 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - なのはさん» 本当に更新しないですよね、、、いやすみません。亀でごめんなさい。続編ではもっと更新早くしますので、、! (2020年4月23日 0時) (レス) id: a37c2613c3 (このIDを非表示/違反報告)
なのは(プロフ) - 更新しないのですか?楽しみです! (2020年4月17日 0時) (レス) id: 122a982782 (このIDを非表示/違反報告)
柊ひな(プロフ) - ばるさん» わざわざご丁寧な説明ありがとうございます!登場してもちょろっとしか夜兎の皆さんが出ていないのでこれから出していけたらいいなあ…と思っております笑 (2020年3月31日 13時) (レス) id: a37c2613c3 (このIDを非表示/違反報告)
ばる - 確認したところ変わってしまっていますね(-_-;)これからはこちらのiDになると思います!こちらのiDからも変わらず応援していきますね!!遂に夜兎の登場(o_o)楽しみです!! (2019年11月29日 12時) (レス) id: b61d069a33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊ひな | 作成日時:2019年10月23日 20時