【銀魂】今日もお江戸は平和です 2

第八十八訓 ページ41

☆オリキャラ出てきます

.



「……いない」



先程まで目の前にいた栗毛頭と銀髪がいない。30秒前までは確かにいたのに、何がどうしてこうなった。

これは私が方向音痴だとかの問題じゃない。絶対的に向こうが悪い。だってちゃんと後ろついて行ったし、私はただ此処の女中さんの人数を数えていただけで…



「…いやいやいや？違うって、私は悪くないよ。後ろを確認せず歩いていった二人が悪い」



そう自分の都合の良いように考え、私がはぐれたのではなく二人が私からはぐれたのだと結論し、広すぎる敷地面積に若干引きながらも歩き進む。
　

すると突然、何の前触れもなく後ろから木刀が私の頭めがけて降ってきた。咄嗟にそれを自分の木刀で受け流して後ろを振り返ると、大柄な男性が一人。



「見た顔じゃないですね。貴方が大将さん？」

「残念、ハズレよ。アタシは武(たける)。貴方可愛いい顔してるのね。名前聞いてもいいかしら？」



女性っぽい口調に語尾にハートが付きそうな喋り方から、この人はソッチ系の人なんだろう。デカイ図体からは全く想像がつかない。

下の名前だけ教えてもらったので同じく下の名前だけ教えると、ニッコリ笑って「よろしくね〜」と言われた。ギャップが激しすぎて不気味だと思ったのはココだけの秘密。



「よろしくお願いします」

「やだ可愛い。惚れちゃいそうだわ」

「可愛いだなんてそんな…武さんもお綺麗ですよ。そのお皿もきっと物凄く綺麗なんだろうなー…ちょっと近くで見せてもらってもいいですか？」

「いいわよ」



かっる。まさか本気にするとは思っていなかったので驚いたけれど、あっちが良いと言ったのだから遠慮なく行こう。

近くで見るとより大きい武さんにまた驚きつつ、左腕に付けているお皿を見ようと背伸びしながら右手にもった木刀を握り直す。案外簡単に終わりそうだ。



「な〜んちゃって」



上から低い声が聞こえてきたと思えば、私の帯に付けていた皿に木刀が当たりそうだったのでしゃがんで回避し、後ろに下がる。



「不意打ちばっかしてきて、狡い人ですね」

「ごめんなさいね〜！わざとじゃないのよ。背伸びしてるのが可愛くって、つい」

「わざとじゃなかったらそんなこと出来ないでしょ」
　


どうやら、簡単には終われないらしい。



.

第八十九訓→←第八十七訓

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す