24. 過去編 ーエレメントー ページ25
この時の私は、これが私の罪の始まりだとも知らずに彼の誓約書にサインをした。
その後、彼の言われた通りに私はドリフェス制度を創り、fineのライブをプロデュースした。
彼は満足していたようだし、私もそれでいいのだと思っていた。
だから、なんとも思わなかった。
Valkyrieを倒しても、なんとも思わなかった。
私は与えられた仕事だけをこなせばいい。
それが私の存在意義だと思っていた。
そして、とうとう最後となる金星杯が次の日に差し迫っていた。
「朔間、さん…?」
天祥院くんに会うために生徒会室に向かっている途中、珍しく学校に来ていた朔間を見かけ思わず呼び止めてしまった。
「Aか」
朔間さんは振り返って私の名前を呼ぶなり、私に異様な程に近づいてきた。
「な、なんですか」
私が後ずさりながらそう聞くと、朔間さんは口角を少しあげてまた距離を詰めた。
「いつから正義のヒロインになっちまったんだ?
俺と一緒にいた頃のことなんて忘れちまったのか?」
「どういう意味ですか」
トンッと壁が背中に当たるとそれ以上後ろへは下がれなくなってしまった。
それでも朔間さんは私の顔を真っ直ぐ見つめて目と鼻の先まで近づいてきた。
暫く無言のまま目を逸らせないでいると、朔間さんはおもむろに目を背け小さな声で「わりぃ」とだけ呟いた。
「…?」
私がその言葉の意味を分からないでいると今度は少し寂しそうな顔をして、私の頬をそっと撫で私の元から去っていった。
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chika(プロフ) - もち明太さん» コメントありがとうございます!渉との関係性がとても重要なのでそう言って頂けてとても嬉しいです…!更新頑張ります!見守っていてくださると嬉しいです (2021年6月9日 0時) (レス) id: f3305d13ec (このIDを非表示/違反報告)
もち明太(プロフ) - 初めまして、コメント失礼致します。好きすぎてびっくりしました…渉が…渉が好みすぎて……。ご無理のない範囲で更新頑張ってください(*^^*)応援しております (2021年6月7日 23時) (レス) id: c849447eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chika | 作成日時:2020年10月24日 1時