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 不思議そうな顔でこちらを見てくる彼が本当に可愛い……そこまで考えて、気づいた。彼は芸能人で、芸人だった。

「そうだったぁ〜……」

 まるで原作者さえ忘れていた初期設定を思い出したように、私は頭を抱えた。そんな私を見ながら、彼は空になった湯飲みを差し出した。机の真ん中に置かれた茶菓子が入った木の器を人差し指で引っ掛ける。

「あ、おかわり貰える?この饅頭、美味いわー」
「はいはい。あ、これ飲んだら、帰ってくださいね」

 湯呑を受け取りつつ、ポットの電源を入れる。もう一度湯を沸かさなければ。ポコポコと音を立て始めたポットを見ながら、つぶやいた。

「うちのディビジョンはチームがないのでrap battleとかどうでもいいんですけど……」
「おん」

 べりべりと包装紙をはがす、緊張感のない音が聞こえてきた。ポットは相変わらずポコポコ言っていて、もうもうと蒸気も出てきた。

「くれぐれも喉……とか、気を付けてくださいね。商売道具なんですから」

 rap battleは本当に見たことがない、たまに仕事の用事で足を運ぶ中央区ではbattleが近くなると動画が流れているが、それもこの間に白膠木簓のパートのみを聞いただけにとどまっている。ストリートでマイクを持ってラップしあう様子は……ちょっとした恐怖だ。マイク一本で他人の進退も、心も気づ付けられるなんて……恐怖だろう。
 今、ここでのんきにお茶を飲んでいる芸人だってその一人になってしまったかと思うと、少しぐらい心配しても罰は当たらないだろう。

「……心配、してくれとんの?かわええなぁ」
「茶化さないでください。心配してもいいでしょう……推してるんですから」

 そう言いながらポットから急須へとお湯を注いでいた私は気づかなかった。普段から、テレビや劇場で愛想笑いぎりぎりのような笑みを浮かべている彼が、本気で顔を真っ赤にして照れていたことに。

(……〜〜アカン)
「聞いてるんですか?」

 私はお茶を注ぎ終わり、湯飲みをもって机の方を向いた。

「……なんで、扇子ひろげてるんですか」
「手になじませとかんと、開きにこうて困るからな。扇子、格好ええやろ」

 自慢げな表情で、扇子を広げたまま私の顔へとかぶせるように振った。

「私はこの前、それで叩かれたんですけどね」
「……あ、そろそろ出らんと。マネージャーから捜索願出されとる」
「ふぇっ!?なんで、居場所つたえないんですか?」

 彼は椅子から立ち上がった。

「ほな!」

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一期Love(プロフ) - 簓推しなのでこの小説見つけてテンション上がっちゃいました笑私関西人なんですけど関西弁もあんまり違和感ないしキャラも上手く表現?されててスゴイなー!って思いました!これからも頑張ってください。更新待ってマス!! (2019年10月21日 21時) (レス) id: 2345a9075e (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - レインさん» 誤植の指摘、ありがとうございます。すぐに確認させていただきますね。 (2019年10月10日 14時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 上層じゃなくて女装じゃないですか?間違ってたらすみません! (2019年10月9日 16時) (レス) id: a7f544d6f5 (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - リつきさん» 有難うございます。楽しんでいただけて幸いです。キュンキュン、してますかね?? (2019年10月5日 21時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
リつき - とても良かったです!めっちゃキュンキュンしました!!!素敵な作品ありがとうございます!続き楽しみにしてます♪ (2019年10月5日 20時) (レス) id: 4bdd39adda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高炉 | 作成日時:2019年10月2日 0時

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