キッカケ ページ21
-
『そういえば白膠木さんって、色恋沙汰のお話は聞きませんよね』
祝日の昼下がり。私は休日なのをいいことに、パスタを食べながらテレビを見ていた。普段は見れない、というか見ない情報番組だ。今回はゲストとして白膠木簓が出ると情報があったから、見ている。祝日でよかった、リアルタイム視聴ができて良かった。
のんびりと見ながらパスタを食べていると、トークの話題はある女優と俳優のスキャンダルから白膠木さん自身の色恋沙汰へと移っていた。
『そりゃそーですよ。先輩は純愛で有名なんですからね』
『へー、そうなんですか?』
白膠木さんの後輩がそう言い、MCの人が身を乗り出した。
私もそうなんだーくらいに聞きつつ、パスタを食べてしまった。もう少しお腹がすいてるから、机の上に置いてある木の器から煎餅を取り出した。
『そんなこと……まあ、あるやろな』
『先輩はデビューした時からずっと片思いしていて、最近やっと発展できるようになったらしいっす』
テレビの中では簓さんが後輩をどついていた。めったに見せない照れ顔で、真っ赤になっている。
私はだんだん、嫌な汗が額につたっていくのを感じていた。
『も、ああ、あの子に迷惑かかるやろ?黙らんかい』
『すみません、すみませんっ』
『へー、公式HPに片思い中って書いてあるだけはありますね』
私は煎餅と一緒にと思って、飲んでいた茶を盛大に吹き出した。慌ててお茶を拭き、スマホを起動させて確認する。
「いつの間に……てか、何で炎上してないんだ。気づいてなかった。相手は誰?」
ま、私は推しが幸せであればそれでいいと思ってる派だし。
劇場のHPを開くと、簓さんのページにはたしかに「現在片思い中です。応援してナー」と書かれていた。冷や汗を通り越して、怒りまでわいてくる。白膠木さんは明るい芸人だ。それでいてあんなに顔が良いんだから、幼女キラーの初恋泥棒枠だと思ってたのに……っ。こんなのHPを開いたら、一発で終了じゃないか。ふざけてんのか。
『まだ片思い中やけどな。これからアタックしよ、おもてんねん』
『ひゅー、ひゅー……。でも先輩、普通の方なんでしょ』
おい待て。まさか私のことを言っているんじゃないだろうな。
もう少し聞きたいところだが、今すぐにやめてほしい。つーか、黙れ。
『ん?全然普通じゃあらへんよ。異常なくらいからええ!からな。おっと、このままやったら、惚気話で番組潰してまうわ』
黙ってほしい、切実に。
-
254人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
一期Love(プロフ) - 簓推しなのでこの小説見つけてテンション上がっちゃいました笑私関西人なんですけど関西弁もあんまり違和感ないしキャラも上手く表現?されててスゴイなー!って思いました!これからも頑張ってください。更新待ってマス!! (2019年10月21日 21時) (レス) id: 2345a9075e (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - レインさん» 誤植の指摘、ありがとうございます。すぐに確認させていただきますね。 (2019年10月10日 14時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 上層じゃなくて女装じゃないですか?間違ってたらすみません! (2019年10月9日 16時) (レス) id: a7f544d6f5 (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - リつきさん» 有難うございます。楽しんでいただけて幸いです。キュンキュン、してますかね?? (2019年10月5日 21時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
リつき - とても良かったです!めっちゃキュンキュンしました!!!素敵な作品ありがとうございます!続き楽しみにしてます♪ (2019年10月5日 20時) (レス) id: 4bdd39adda (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:高炉 | 作成日時:2019年10月2日 0時