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「お隣は……」
「兄ですー」

 天気は快晴で雨一つ降る気配はないが、なぜか私の周りの空気はどんよりしていた。本当についてきやがた……。

「お兄さんかい?そこまで年が離れてないみたいだけど……双子?」

 ニッコリ笑顔でこちらを見てくる美由紀さんに対する罪悪感がすごい。なんか、お腹痛くなってきたな。脂汗もすごい気がするし……。というか、私は何も聞かされてないのだ。どういう状況なんだよ、これ。
 私の隣で同じく笑顔で立っているのは白膠木簓。シンプルなデザインのシャツの上からブラウンの洒落たジャケットを羽織っている。色眼鏡をかけ、マスクに少しつばの広い帽子。ここが家ならば連写している。というか、今もしたい。

「ぜんぜん似とらんって、よう言われるんや。誕生日はおんなじなんやけどな」
「へー、それにしても美形兄弟だったんだねAチャン。お兄さんはオオサカ弁を喋ってるみたいだけど?」
「ああ、大学が向こうでな。そのまま向こうで就職したんよ。よくコイツの家、行っとるから、兄妹仲はええんやで?」

 簓さん……もといお兄ちゃんは、私の肩を引き寄せると「なっ!」と言った。
 近い近い近い……。香水でも着けてるんだろうか。尊すぎて息を我慢していると、離れた瞬間に吸った空気が酷く大人っぽかった。

「仲が良いのは良きことなり。さて、ヨコハマディビジョンへ行こうか?」
「……A?行くで」

 簓さんの声が聞こえ、ふっと顔をあげた。二人は少し遠くから私の方を見ていた。

 なんだか心配で仕方ないが、ここまで来たなら行くしかないか。私は軽くため息をつくと、少しだけいつもの仕返しをするつもりで簓さんに向かって叫んだ。

「はい、お兄ちゃん!」

 なんだかんだ言って、この関係を楽しんでいる自分がいるのかもしれない。

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一期Love(プロフ) - 簓推しなのでこの小説見つけてテンション上がっちゃいました笑私関西人なんですけど関西弁もあんまり違和感ないしキャラも上手く表現?されててスゴイなー!って思いました!これからも頑張ってください。更新待ってマス!! (2019年10月21日 21時) (レス) id: 2345a9075e (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - レインさん» 誤植の指摘、ありがとうございます。すぐに確認させていただきますね。 (2019年10月10日 14時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 上層じゃなくて女装じゃないですか?間違ってたらすみません! (2019年10月9日 16時) (レス) id: a7f544d6f5 (このIDを非表示/違反報告)
高炉 - リつきさん» 有難うございます。楽しんでいただけて幸いです。キュンキュン、してますかね?? (2019年10月5日 21時) (レス) id: d839c37112 (このIDを非表示/違反報告)
リつき - とても良かったです!めっちゃキュンキュンしました!!!素敵な作品ありがとうございます!続き楽しみにしてます♪ (2019年10月5日 20時) (レス) id: 4bdd39adda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:高炉 | 作成日時:2019年10月2日 0時

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