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それは珱姫の屋敷に行く直前のこと。

―「なまえちゃん、そう怒らんといてーな」
―『元凶に言われても困るんだけどな』
―「僕が拾ってあげたこと、忘れてんとちゃう?」

いつものニコニコとした笑顔で秀元はなまえに投げかける

―『拾ったって・・・私は犬猫じゃありません』
―「じゃあコレくらい聞いて?な?いつも僕が君の我が儘聞いてあげてんのやで?」
―『・・・口が上手いからって痛いところばかり突くかんでくれ』
―「あっ、てことは」
―『あーもう分かったから!その代わり、上手く口裏合わせてよ?』

頭を掻き毟りながら、秀元を一瞥すると、変に逃げられないようにと立たせられていた秀元の式神たちの頭を撫でて移動させると、大人なしくちょこんと座らせる。
相当秀元の式神を扱い慣れてきたと自分でも思ってしまう。

―「おや、何の事?」
―『ちょ、裏切る気?!』
―「嘘や嘘。こんなカワイー妹分を遣いに送ってしまうのに、悲しいわけ無いやろ?」
―『いや、妹分になった覚えもないし、第一年齢的に私が上なんだけどな・・・。』
―「えーからなまえちゃんは気にせんで、しっかり気張ってや。君が半分妖やってのは、ちゃーんと珱姫おとんには黙っておくから♪」


***


『よーちゃん!』
「なまえ!おかえりなさい。今日はいつもの、」
『あるに決まってるでしょ?』

くすくすと笑って差し出すと、珱姫の表情はパァっと明るくなった。
その、いつもの、というのが数字の書いてある札のようなもの。
なまえが今で言う長崎にいた頃、外国船から拝借したものだそう。
拝借といえどすっかり自分のものにしているが、そこはあえて触れてはいないが。
今では歌留多と伝わっているが、そのもっと元で、異国の遊びを見ていたなまえが覚えて来たそうだ。
それに珱姫はすっかり魅了されてしまい、今に至るのだ。
なまえが昼間の仕事を終えて顔を出すと、飛びつくように目を輝かせる。
ただ、一向になまえに勝てずにいるので、毎日のように「今日こそは」と燃えているのは目に見えるように分かる。

「なまえが今日は先手を打ってください!」
『あれ、いいの?昨日はそれでよーちゃんが負けたでしょう』
「うっ・・・でもそれを承知で勝ちたいのです」
『ふふふ、よーちゃんは相変わらず可愛いなあ』


よし、受けてたとうと、二人して腕まくりをするのであった。

そう、もうすぐに招かれざる者が来る・・・それまでは。

参→←壱



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作者名:ばっちゃん | 作成日時:2018年1月27日 23時

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