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ページ12

―妖刀・祢々切丸―

「別名、鵺切丸や」
『ぬえ…鵺…って、あの?』
「そうや。この刀はなまえちゃんが思っているよりもはるかに重い代物やで」

スッと、秀元の瞳が細められると、それにつられてなまえも眉を寄せる

『そんなモノを、珱に持たせるのは…なおさら気が引ける』
「うんうん。そう言うと思ってな。…じゃーん」
『な、』
「どう〜?僕がとっくべっつに!作ったなまえちゃんだけの刀〜」
「「だけのかたな〜」」
『秀元…』

わざわざ式神を使って大げさに、しかも特別感満載の手品のように飛び出してきたそれは、珱姫に贈るそれとはまた別の刀。
刀身も長く、例えるなら脇差か。自分の服装が服装なだけに、腰に携えやすいようにしっかり紐もついているがそれもまた地味に豪華だ。
いかにもお武家の嫁入り道具というぐらいの勢いに、若干苦笑いをしてしまう。
だが、これがもし私の気持ちをくみ取ってくれるのならば。きっと珱に贈る刀と同じ力を持っているはず。
秀元の様子を伺うまでもなく、そのまま逆手に抜刀すると思い切り自分の腕を斬った。

「…」
『…』

確かに、斬れた感触はあった。
痛みも、感じた。"人間"として。

『……最低限、だな』
「苦労したんやで?」

ニヤッという表現が合うだろうか。
なまえは秀元に言われ、微笑むと納刀する

『礼は言っておく。ありがとう秀元』
「なんでお礼が言葉だけなん〜?」
『…それ以上何がある』
「抱擁(ぎゅー)とか〜接吻(ちゅー)とか〜、あと『黙れ』

納刀したままのそれを秀元の額に落としてやると、「いたっ」と肩を竦めていたが関係ない

「なんや〜期待してたのに」
『恋仲でもないお前に、なぜやる必要が?』
「あ、なまえちゃん動揺しとる〜!長生きしとんのに、相変わらず初心やねえ」
『煩い秀元。是光呼ぶぞ』

秀元は一言多い。
だが今回はこの刀に免じて許してやろう。

新しいこの刀は、元々なまえが昔より所持していた物を強化して貰った物だ。畏れに反応(憑依)して形をかえるという元々独特な刀だったが、生き肝信仰の妖の影響と珱姫の護衛を期に、秀元に頼んで作らせたのだった。丁度その時期に珱姫の刀、祢々切丸を秀元が打っていたのもあり、兄弟刀となったのだ。

「...重宝してな?」

秀元の目線の先にはなまえの腕。だがそこは、斬れてはいなかった。
祢々切丸よりは退魔刀としての力は弱いが、"人と斬れない"力は同等。それが望んだ力だった。だがなまえの刀はそれだけではなかった。秀元が推すだけのそれがあるのだ。
なまえは頷く

拾壱→←玖



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作者名:ばっちゃん | 作成日時:2018年1月27日 23時

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