ヌナ・ヌナ・ヌナ【03】 -SJ-

121.エゴ(SM)　-よじゃ- ページ24

(SM)


「ソンミンさん、時間が…」

SM「ちょっとだけ。ねぇ、何かあった？また何か抱えてる？」


逃げないで。

そんな泣きそうな顔をして、平気だなんて、言わないで。


SM「分け合えたら、軽くなるって。僕には分け合えない？」


どうしても聞き出してしまいたいなんて、エゴだってわかってるけれど。
Aの弱音さえ話せる相手は、どうしても自分でありたかった。

僕が、彼女のそばにいられる、その存在理由に、縋りたかった。


SM「なんだって受け止めるから。些細なことでも話してみて？」


だから、
何を問いかけても、
どんなふうに呼びかけても、

決して何も伝えてこない彼女に、こんなに簡単に失望してしまうなんて。


彼女の肩の荷を下ろしたいと、そもそもの気遣いは
いつの間にか、自分が彼女の良き相談相手になりたいんだと、身勝手な方向を変えていて。

バカな自分は、まるで彼女を責めるように、大きな溜め息をついてしまったんだ。



「…すみません」


消え入りそうな彼女の謝罪に、はっとしてその顔を見れば、話し始めた時よりずっと沈んだ顔をしていた。


SM「ごめん、そんなつもりじゃ…」

「あの、そろそろ本当に時間が」

SM「あ、ヌナ、ちょっと」


立ち上がったAが、逃げて行くと、その怖さに、咄嗟に腕を掴んだ。

けれど、掛けるべき言葉なんて用意が出来ていなくて。

焦った空っぽの頭で、ただ掴めない言葉がぐるぐると回り続ける。


ヌナ、ごめん。


困らせたいわけじゃなくて。


ヌナのために、何かしたくて。




だって、こんな風に必死で誤魔化したって





やっぱりキミが





どうしようもなく、





どうしようもなく、

好きだから。







SM「…好きだよ」








行き当たった想いが、零れ落ちた。


驚いたように目を見開いた彼女が、困ったように眉を下げる。



その目を見て、もうこれ以上彼女を困らせたらいけないって、分かっているはずなのに。





SM「やっぱりヌナが好きなんだ」





繰り返す僕は、やっぱり自分に甘い、ダメなヤツなんだ。




　

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