ヌナ・ヌナ・ヌナ【03】 -SJ-

122.優しい瞳　-ちづ- ページ25

好きなんだ、

そう告げたソンミンは私よりもずっと辛そうな顔をして。

心臓が止まったと思った。

投げられた言葉の意味を理解できずに、
頭はまだ追いついていないのに、
心はもう、ざわざわと騒いで。

何か、いろんなものが混じった色に、
私の思考が塗りつぶされて。


きっと固まっていたであろう私に、
もう一度彼が言葉を投げかける。


SM「…ごめん。」


目を伏せて。
どうして謝るの。

どうして。


混乱したままでいると、

SM「何も、言わないで。…ごめん。」


優しい彼は顔を上げて、微笑んで。
もう一度、私に拒絶されるのを阻止した。


ごめんなさい、と言ったあの日、
私がたくさん泣いたことを、きっと、知ってる。

向けられた好意をどうすることもできなくて。
何もできずにただ謝って、泣いた私を知っていて。
きっと、もう一度私に言わせるのが、かわいそうだ、なんて。
そう思ってるに違いない。



好きなんです。



そう言いたかった。
気付いたばかりの気持ちだけれど。
彼を目にするたびに、気付きは確信に変わる。


自分の変化に気付いてただの数日で、
もう、胸の中の思いは膨れ上がって。
私を困惑させた。


混濁した思考の中、
自分がどんな言葉を紡げばいいのか判断がつかない。



好きなんです。



そう言えばいい？

でも彼は仕事仲間で。
私には部下があって。

どう考えても、踏み出すべきではないようにも思える。

ソンミンの言葉を支えにして、
甘えられるところは甘えるべきだと思うようになったけれど。

恋愛は一層自分を弱くする気がして。
ずっとずっと、拒絶してきたから。

今この自分の衝動に従っていいかもわからない。


「…ソンミンさん、」


どう言うの。
何を言うの。

自分でもわからず、その名を呼んで。


優しい光を宿した彼の目が私を包んだとき、



がちゃり、


会議室のドアが開いた。

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