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100.笑顔になるように -ちづ- ページ3

これから使う小道具に傷一つでもついてようものなら、
衣装を考え直す必要も出てくる。

それはもう必死で確認して。
自分のヘマを後悔する。



朝から機嫌がよくずっとにこにこだったドンヘ。

普通はあれだけ浮かれたら仕事でもしくじりそうなものなのに、
彼にとっては浮足立つことすらも仕事にはプラスに働くようで。

普段より早いペースでOKが出るぐらいだった。


そんな彼に引きずられるように、私も浮かれていたのかもしれない。


落ち着いて。
慌てないで。

一つ一つ確認をし、
すべてが無事だったと一息ついて。


やっと、
隣に見える、スーツの両足がおろおろしてることに気付いた。


慌てて立ち上がる。

「すみません、ドンヘさん。」

DH「ごめんね、大丈夫?」

眉を下げて、心配そうにする。

「大丈夫です、今確認したところだと傷なんかはついてないです。」

撮影に支障がないことを伝えて。

DH「違うよ。」

「え?」

DH「ヌナは?
ヌナは大丈夫?…膝、すりむいてる。」

「え?ああ、大丈夫です。」

痛くもないし、たいしたことなかった。
それなのに。

DH「ごめんね。もっとちゃんと支えてればよかった。」

スーツが汚れるから、とさっき言ったのを気にしてるのか、
しゃがまずに腰を折って顔を下げる。
私の膝には触れずに、そろりと手をかざして。


DH「消毒しなきゃ。」

「いえ、大丈夫です。」

DH「ダメ。」

「ドンヘさん、大丈夫ですから。」

DH「ダメ。」

荷物を奪われて、手をぎゅっと握られて。
移動先へ急ぐ。



さっきの、
一瞬のぬくもりを今更思い出して。
何も言えなくなる。


上手く体を支えられなくて、
とすん、と寄りかかった。
受け止めたその手が大きくて。
寄りかかったその体はびくともしなくて。

 

男の人、だな。



ぼんやりそんなことを思う。

目的地に着くと椅子を探して、その足元に、
そろりとバッグを置いて。

私を座らせたドンヘが

DH「ヌナ、これは僕の命令です。動かないように。」

そう言って返事も待たずに救急箱を探しに行った。


ほどなくして帰ってきたドンヘが消毒してくれて。
ここで遠慮したところで聞いてくれるわけもない。

もうあきらめてじっとする。


DH「よし。ヌナ、大丈夫?」


まだ心配そう。



笑っていて、ほしいな。
せっかくの笑顔が、私のせいで曇ってしまうのは嫌だな。



ドンヘが笑顔になるように。


私は笑顔で、

「大丈夫です。ありがとうございます。」
と答えた。

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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/  
作成日時:2013年2月26日 23時

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