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101.本当の目的 -よじゃ- ページ4

痛くない?
大丈夫?
ねぇ、ほんとに平気?

って
いったい何度尋ねられただろう。

そんなにたいした傷でもない、ただ絆創膏を貼って済むような傷を、まるで過保護な母親のように心配されてしまって。
その度に、情けなく下がる眉毛が、とっても、

可愛い。

純粋に謝罪を重ねる彼に、失礼かもしれないけれど…。


「傷物にした責任とって結婚します!とか言いそうな雰囲気だな」

って、現場ディレクターは笑っていて。

「それじゃ世界中のELFがドンヘの前で転んじゃいますよ」

なんて、アシスタントのオンニが笑いを重ねる。


DH「ほんとに、支えるつもりだったんですけど、つい離しちゃって」

もごもご言い訳するドンヘに

「私が重すぎたんです」

と冗談を飛ばせば、違うって!そんなんじゃないよ!と必死で否定する彼は、今日も現場の空気を明るくしてくれる。
意図しているわけじゃないのに、周囲を笑顔にする彼は、幸せの象徴みたいにも見えてくる。


その彼が、スタッフに混じっての夕食終わりに、そろそろっと、寄ってきて。

また懲りずに、大丈夫?、と口にするのかと思ったら、あのね、と切り出したまま、先を続けずに、視線を彷徨わせる。

「どうしたんですか?」

「お!ドンヘ、なんだ、また謝ってるのか?いい加減しつこいぞ」

切り出した会話は、背後から来て通り過ぎて行くディレクターの声に遮られて。
あはは、とよく分からない笑みを返したドンヘが、その背に、あ、ごちそうさまです!と食事の礼を投げた。

「あぁ。明日、午後からまたよろしくな」

そのままエレベーターホールへと消えていった背中を見送って、再びドンヘを見れば、思い出したように真顔に戻る。
いつも笑顔の印象の強い彼だから、その雰囲気が少し不思議で。

首をかしげれば、また、あのね、と切り出して。

DH「…明日、午前中空いてるからさ、…お墓参り行かない?お父さんの」

あまりに予想外の言葉を耳にして、呼吸が止まる。

DH「ずっと行ってないんでしょ?こんなチャンス滅多に無いし、実はもう車も借りてあって…って僕はうっかりして忘れてたから、実はヒョクが借りてくれたんだけど。…そんなことどうでもいいか、何言ってんだろ。だから、その、最近ヌナがちょっと元気無いような気もして、それもなんかもしかしたらもう解決したかもしれないんだけど、なんの話だっけ、だから、そう、お墓参り、行かない?」

結局笑顔で、彼は再び、私を誘った。

102.快晴の予感(DH) -ちづ-→←100.笑顔になるように -ちづ-



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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/  
作成日時:2013年2月26日 23時

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