ヌナ・ヌナ・ヌナ【03】 -SJ-

110.複雑(SM) -ちづ- ページ13

(SM)


ドンヘとAがロケから帰ってしばらくして。
僕の心境は、今日も少し複雑。


YS「ヌナ。」

イェソンがAを呼ぶ声も。
最近は前より少し、自然になってきた。

「はい？」

YS「今度うちの店でお客さんに渡すキーホルダー。どっちがいい？」

「？」

YS「企画段階で意見を聞きたかったけど、」

「ああ！もうできあがってるんですね。参考意見ですか？
私は黒のほうが好きですけど。」

YS「あ、そう。はい。」

「え？」

YS「はい。」

「え、くれるんですか？」

YS「…。」


相変わらず不器用に、テンポのわからない会話を展開する。
Aは困って遠慮するのかな、と思ってると、


「わぁ、じゃあいただいちゃいますね。」

と、笑顔でそれを受け取った。



…こういうところが、複雑な気分にさせる。


ヌナ、その変化はいつから？
…何かあったの？


なんて、
僕が聞けるはずもなく。

ただ眺めてると、


DH「あ！ヒョン！ダメですよ、ヌナにソンムルなんて！」

YS「どうしてダメなんだ。」

DH「ずるい！」


天真爛漫に、ドンヘが。
抜け駆けするなとでも言うの？
でも、僕は知ってる。

イェソンがとても、苦しんで、出した結論。


神妙な顔になってたんだろう、
キュヒョンが僕の隣で何か言いかけたとき、


DH「僕にもちょうだい！」


…そっちだったか(笑)。
キュヒョンと顔を見合わせる。


YS「黒はヌナが取ったから、ピンクしかない。」

読み取りにくい表情でイェソンがそう言ったら、
一瞬黙ったドンヘが、

DH「ヌナ、かえっこして？」

「いいですよ(笑)。」

YS「え。でも、」

「どっちもかわいいですもん。じゃあ私ピンクで♪」


・
・


KH「最近ヌナ、よく笑いますよね。」


SM「そうだね。」


KH「前から明るい人だったけど、最近少し、変わった気がします。」


SM「そうだね。」


ちらり、
こちらを気にして見る。


心配してるの？


ヒョンは大丈夫だよ。


ただ、吹っ切れたつもりでいても。
どんどん魅力的になっていくAを目で追ってしまうんだ。


イェソンのように男らしく割り切ると決めたけど。
ドンヘがAに甘えるたびに、胸がちくちくして。


親友のような、
と思い描いた距離までは少し遠くて。


複雑なだけだよ。



僕の中で、まだ残るAへの気持ちを。
どうしていいか、わからないだけだよ。





キュヒョンは曖昧に微笑む僕を見て、
もう心配そうにはせずに、
手元のゲームに目線を落とした。

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