99.浮かれ気分で(DH) -よじゃ- ページ2
(DH)
Aを連れて向かった仕事。
仕事なんだから、ってヒョクチェに何度釘を刺されたって、抑えが効かないくらい、気持ちが浮ついた。
いつもは他の誰かに頼んでしまうようなことも、彼女が手付からしてくれて。
他の仕事に邪魔されることもないヌナが、撮影に望む僕をずっと見つめてくれている。
その事実が、こんなにも嬉しく感じるだなんて!
正直自分でも予想以上だ。
自分の気持ちがこんなにも彼女に向かっている。
僕だけを想ってくれるヌナが、こんなにも愛おしく感じる。
オッケーが出て、次の撮影場所に向かう道すがら、そっと並んだ彼女の隣で、褒め言葉を強請る。
DH「どうだった?ヌナ、カッコ良かった?」
「いつもカッコイイですけど、今日は一段と輝いて見えました」
DH「ほんとに?!」
優しく笑う彼女は、僕の褒めて貰いたい気持ちなんてお見通しで、敢えて大げさな言葉を選んだのかもしれないけれど、今の自分にはそんな本音さえ関係ない。
ただ、嬉しい。
ただ、頬が緩む。
「モデルさんとの距離が近いから、ドキドキしちゃいました」
DH「そう?そんなに近かった?」
「だって、こーんな距離でしたよ」
彼女が歩きながら背伸びして、不意に近づいた距離は、頬が触れそうなほど。
「おっと」
両手に荷物を持った彼女がそのままバランスを崩して、こちらに傾くその身体を、慌てて受け止めた。
彼女の柔らかな香りが鼻先を掠めて、見える首筋、感じる温もり、柔らかさ。
途端に全身を襲った苦しいほどの衝動に、驚いて。
思わず、その手を離してしまった。
「わわっ…」
支えをなくした彼女はそのまま、ベタッと、地面に膝をつくように倒れこんで、手にしていた荷物がガチャっと音を立てる。
DH「ごめん!」
「だ…大丈夫です」
DH「ヌナ、ほんとごめん!」
「ドンヘさんは悪くないです、私がふざけてバランス崩しただけで…、衣装!」
突然思い出したように慌てたヌナが、落としたバッグの中身を覗いて、時計やらアクセサリーやら、をひとつひとつ確認していく。
もう自分の存在さえ目に入っていないようなその状況に、同じように座り込む僕はただおろおろとするばかり。
DH「ヌナ…驚いちゃって、僕、ほんとに」
「本当に大丈夫ですから。それよりスーツ汚れちゃうから立っててください」
DH「あ、うん」
ピシャリと言われて、言われたとおりにするしかない自分に、唇を噛んだ。
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舞桜(プロフ) - 素敵な作品に出会えた事が嬉しいです。これからも書き続けてください。 (2015年11月29日 13時) (レス) id: 03ef754c9c (このIDを非表示/違反報告)
井上よじゃ(プロフ) - 全然気づかず…恐ろしくお返事が遅くなりまして申し訳ありません!!(土下座)いたわりのお言葉ありがとうございます!今回の連載はいい思い出になりました♪共同執筆はなかなか難しいですが、気分はいつも2人で一つ、でこれからも頑張ります♪ありがとうございます! (2014年11月29日 23時) (レス) id: cae000c27e (このIDを非表示/違反報告)
ちづ(プロフ) - あかねさん» こんにちは、ありがとうございます♪完結まで・・待ちたい・・(汗)すみません〜、私のせいでずいぶんお待たせしましたね(><)呆れず読みに来てくださって本当にありがとうございます!最近は企画する時間もなくて・・申し訳ない(汗)当面、自分の連載がんばりますww (2014年6月22日 9時) (レス) id: dd0328dcfc (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - お二人の単独作品も大好きですが、新たな企画ものをこっそり期待しています。いつも素敵な作品をありがとうございます(^^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 連載お疲れさまでした!お二人のチームプレイは抜群ですね。私は完結まで待って一気読みしたいタイプなので最終章は目次を見ながらワクワクしていました。改めて、もう一度最初から熟読して楽しみます~(^.^) (2014年6月18日 22時) (レス) id: c6e7bfcddb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちづ・よじゃ | 作者ホームページ:http://aojirushi.net/
作成日時:2013年2月26日 23時