第59話 ページ15
｢腹が減った…なんでもいい、飯が食いたい…｣
ﾊﾞﾀﾝ
｢お前に名前と食事をやろう。｣
｢あなたは…｣
｢ゲルミュッド。俺のことは父と思うが良い。｣
前を見るとそこにはリムルとオークディザスターのゲルドが居た。3人だけの空間だ。
｢あの方は教えてくれた。オークロードとなった俺が食えば、飢餓者の支配下にあるものは死なない。
邪悪な企みの駒にされていたようだが、賭けるしか無かった。
だから俺は食わなければならない。
お前がなんでも抉る刃を持つとしても、お前がなんでも食うスライムだとしても、食われるわけにはいかない。｣
｢食い合いは俺たちに分がある。お前は負ける。｣
｢俺はほかの魔物を食い荒らした。ゲルミュッド様を食った。…同胞すら食った。同胞は飢えている。俺は負けるわけにはいかない。｣
｢この世は弱肉強食なんだ。お前は負けたんだよ。だからお前は死ぬ。｣
｢俺は負けるわけにはいかない。俺が死んだら、同胞が罪を背負う。
俺は罪深くとも良い。皆が飢えることのないように、俺がこの世の飢えを引き受けるのだ。｣
｢それでも、お前は死ぬ。｣
｢だが安心しろ。俺がお前の罪も全て食ってやるから。｣
｢俺の罪を…食う？｣
｢なるほどね。それなら私も共に背負おう。私もゲルドの魂の欠片を食ったんだから。
ああ、お前だけじゃなく、お前の同胞全ての罪を食ってやる。｣
｢同胞も含めて…罪を…？ふふっ、お前らは欲張りだ。｣
｢そうだな。俺たちは欲張りだよ。｣
と、私たちのいる空間に青々と茂る草花が芽吹く。
ゲルドも、かつてのオークの姿に戻っていた。
｢お、おお…！｣
辺り一面に広がるのは豊かな土地。そして響く子供たちの笑い声。
｢くっ…強欲なものよ、俺の罪を食らうものよ…！感謝する…俺の飢えは…満たされた────｣
そうしてゲルドは…ゲルドの魂は姿を消す。
《確認しました。オークディザスター、消失。》
助言者の声で現実へ戻される。
｢安らかに眠るがいい、ゲルド。｣
リムルが呟いた。
｢彼が次に生まれ変わる時には、どうか───｣
どうか、飢えなどに苦しむことのないように。絶えず子供たちの笑い声が響くように。
今の私には祈ることしか出来ない。
私の頬に一筋の涙が零れた。
【おはこんばんにちは、作者です！
まさかのユーザーランキングに載ることが出来ました！2作品しか投稿してないのに…皆さんありがとうございます！！！】
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最高です！ - 最高最高最高最高最高 (9月27日 19時) (
レス) @page6 id: e900712ad7 (このIDを非表示/違反報告)
nana1021kpsg(プロフ) - とても面白くてお気に入り作品にさせていただきました！ただ、誰が何を喋っているか分かりづらいので、名前等を書いていただけるとありがたいです。 (2023年3月31日 1時) (レス) @page6 id: 06273e7c15 (このIDを非表示/違反報告)
花怜?ゃ?(プロフ) - もしかして犬夜叉…?? (2023年3月17日 10時) (レス) @page12 id: 364dcb601a (このIDを非表示/違反報告)
わらじ - アクトの鳴き声可愛いです。 (2023年1月20日 23時) (レス) @page48 id: 42cb93ed04 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - すみません。誰かアクトについて教えていただけないでしょうか (2022年8月13日 0時) (レス) @page1 id: 54ed83ce57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぬこ | 作成日時：2021年9月12日 19時
