十五話 ページ16
「オ疲レ様デ御座イマス」
いつの間に意識を失っていたんだろう。
暗い視界から目をひらけば、目の前には僕を覗き込む玉艶。
地面に倒れ込んでいたんだろう。僕の視線は玉園を見上げていた。
『…おに…おには…?』
「ツイサッキ灰ニナリマシタ」
あぁ、あぁ。そうか。そうなのか。
それを聞いた途端、目から溢れるのはぬるい雫。
玉艶はこちらをいつものように不安げに見つめていた。
「御刀ガ其方ニ落チテイマス。拾ッタラオ館様ゴ報告ヲシタノチ、
オ茶デモ飲ンデ、御休ミクダサイ」
優しく触れるのは黒い羽。
震える体を必死に支えながら刀を鞘に戻す。
玉艶は気を使ってか、僕の肩には乗らなかった。
-side 玉艶-
「オ館様、任務ノゴ報告ヲ」
「あぁ玉艶。Aは平気だったかい?」
「現在、鬼ノ胃液ニ溶カサレカケタ傷ガ痛ムラシク、
シバラクノ休養ヲ要請シマス」
痛ましい、病の進行したお館様。
誰よりもA様をお気遣いになさっているお方。
「そうかい…なら完治するまで決して屋敷から出してはダメだよ?」
「承知」
翼を広げ、A様のお屋敷へと飛んでいく。
しかし、あのお優しいA様を突き動かしたあの少年…。
確か、名は竈門炭治郎と申したか。
「…青イデスナァ」
わたくしの呟きは空へと消える。
ようやく我が主人にも青き春が来たかと、少しウキウキしている反面。
主人をとられると言う、愛玩動物的危機感を感じていた。
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八雲(プロフ) - とても続きが気になります!!更新楽しみに待ってますね! (2019年5月27日 21時) (レス) id: ee1ccd9f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年5月5日 14時