検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:25,098 hit

十二話 ページ13

屋敷に入れば一瞬で感じる鬼の気配。

人の血液の臭い。

ここまで色濃く残るのは恐怖の色。

そして、鬼の嘲笑うかのような色あい。


目の前が真っ赤だ。


笑っているのだこの鬼は。人を殺すのを、死ぬのを見るのを。

そして、それを食うときでさえ笑みを絶やさない。


「ひひひッ…また来たなァ俺の屋敷に可愛い可愛い子猫が…ァ」


屋敷中から響く声。嘲笑う声。

引き抜いた刀を強く握り、その声の主を探そうと足を踏み出す。


しかし、一瞬で見えたのは攻撃の色。

それは足元からである。

今ここで攻撃を食らっても後々が面倒になるだけだ。


その場所から素早くされば、地面から伸びてくるのは複数の腕。

赤く伸びたそのつめ先、これは鬼の腕。


一体その腕で何人、何十人殺したのだろう。

強く刀を握りしめ、心の中で思う型を形にする。


-海の呼吸 参ノ型-


巻き起こる青い波。落ち着く懐かしい海の香りと波の音。

両足に力を入れ、踏ん張りながら青く波打つ刀を一線として振るった。


-風波-


振れられた刀に帯びる波。

それに襲われ、呑まれた鬼の腕たちが、ぼとぼとと地面に落下し、黒ずんでチリとなる。

火の粉さえ見えるような散り方。当たり前と言えばそうか。

日輪刀は太陽の陽を浴びた鉄が材料。焼けるように消えるのも当然。


それでも、いつまでたってもその消え方は儚げなもので、

ひどく心を揺さぶられ、えぐられる。

また違う胸の痛みが目尻を熱くさせてくる。


「くそォ…!なんで避けれんだよォ!」


悔しそうな鬼の声。相変わらずどこから声がしているのかわからない。

まるで、この屋敷全てが鬼のよう。


『今まで来た人と僕を同じにしないでもらえる?
君が食った人たちのため、君の首を切るよ』


きらりと動く波の刃。

一体どこから僕を見ているのかは知らないけれど、

僕に与えられた仕事はしっかりとやり遂げないとね。

十三話→←十一話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (71 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
137人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 竈門炭治郎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

八雲(プロフ) - とても続きが気になります!!更新楽しみに待ってますね! (2019年5月27日 21時) (レス) id: ee1ccd9f95 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年5月5日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。