十二話 ページ13
屋敷に入れば一瞬で感じる鬼の気配。
人の血液の臭い。
ここまで色濃く残るのは恐怖の色。
そして、鬼の嘲笑うかのような色あい。
目の前が真っ赤だ。
笑っているのだこの鬼は。人を殺すのを、死ぬのを見るのを。
そして、それを食うときでさえ笑みを絶やさない。
「ひひひッ…また来たなァ俺の屋敷に可愛い可愛い子猫が…ァ」
屋敷中から響く声。嘲笑う声。
引き抜いた刀を強く握り、その声の主を探そうと足を踏み出す。
しかし、一瞬で見えたのは攻撃の色。
それは足元からである。
今ここで攻撃を食らっても後々が面倒になるだけだ。
その場所から素早くされば、地面から伸びてくるのは複数の腕。
赤く伸びたそのつめ先、これは鬼の腕。
一体その腕で何人、何十人殺したのだろう。
強く刀を握りしめ、心の中で思う型を形にする。
-海の呼吸 参ノ型-
巻き起こる青い波。落ち着く懐かしい海の香りと波の音。
両足に力を入れ、踏ん張りながら青く波打つ刀を一線として振るった。
-風波-
振れられた刀に帯びる波。
それに襲われ、呑まれた鬼の腕たちが、ぼとぼとと地面に落下し、黒ずんでチリとなる。
火の粉さえ見えるような散り方。当たり前と言えばそうか。
日輪刀は太陽の陽を浴びた鉄が材料。焼けるように消えるのも当然。
それでも、いつまでたってもその消え方は儚げなもので、
ひどく心を揺さぶられ、えぐられる。
また違う胸の痛みが目尻を熱くさせてくる。
「くそォ…!なんで避けれんだよォ!」
悔しそうな鬼の声。相変わらずどこから声がしているのかわからない。
まるで、この屋敷全てが鬼のよう。
『今まで来た人と僕を同じにしないでもらえる?
君が食った人たちのため、君の首を切るよ』
きらりと動く波の刃。
一体どこから僕を見ているのかは知らないけれど、
僕に与えられた仕事はしっかりとやり遂げないとね。
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八雲(プロフ) - とても続きが気になります!!更新楽しみに待ってますね! (2019年5月27日 21時) (レス) id: ee1ccd9f95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とりまろ。 | 作成日時:2019年5月5日 14時