初恋は白王子 Ⅲ (ページ6)

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29.既視感ページ6

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鈍い頭痛で目を覚ますと瞼に違和感を感じた

目元に触れて確かめてみればそれは蒸したタオルで、外して天井を見上げると見覚えのある場所だった

重い体と瞼で隣を見れば、ベットサイドに座る瑠姫くん

凄い既視感

働かない頭でもそう感じた

白岩)「あ、おはよ」

『...おはよ』

白岩)「声掠れてるし」

"とりあえず水飲んで"

前にも同じ言葉を聞いた気がする

いるはずのない場所と人に困惑しつつ昨日の記憶を思い起こそうとするがほとんど思い出せなかった

『昨日って...』

白岩)「覚えてる？」

『純喜くんと飲み行って、なんかすぐ酔っちゃって...寝た？』

白岩)「まあそんなとこだね」

『なんで瑠姫くんちにいるの？』

白岩)「純喜がAの家わかんないからって俺の家連れてきた」

『あぁ』

白岩)「体調は？」

『頭痛い』

白岩)「ちゃんと飯食ってないだろ」

『いや』

否定しようとしたが“痩せ過ぎ”と静止されて何も言えなくなる

『...お腹空かなくって』

白岩)「とりあえずなんか食わないと」

そう言ってキッチンへ行く彼を見て思わず"料理するの!?"と聞くと"パン焼くだけ"と言われる

白岩)「ジャムとマーガリンどっちがいい？」

『ご飯がいい』

白岩)「炊かないと無い」

『ジャム』

白岩)「ん」

トースターから香るパンのいい匂いにここ最近聞くことのなかった腹の虫が鳴いた

『いただきます』

白岩)「どーぞ...今日仕事は？」

『午後から』

白岩)「俺も夕方から収録あるから送ってく」

『ありがとう』

白岩)「仕事忙しそうだよね」

『ありがたいことにね』

白岩)「クリスマスの日サンタの格好でライブ配信してたでしょ」

『え、見てたの？』

白岩)「ばっちり。
丁度ライブ終わりでメンバー全員見てたよ」

『うわっはず...
そう言う瑠姫くんも最近忙しそうじゃん』

白岩)「新曲リリースしたしね、全然休みない」

『瑠姫くんこそ体調崩さないでよ？』

白岩)「誰かさんと違って俺はちゃんと食べるんで」

わざとこっちを見てニコニコする彼に"嫌味ったらしいわ"と呟く

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