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・降谷視点
今も尚震える手、仕方ないと言いながら涙を零し続ける。お前はいつも勝手だ、自分の異変を勘付かせないように追い詰めて、気付いた時にはもう傷だらけになっている、強がりすら痛々しい程に。それでも決して言葉にしようとはしない、誰かの手を取ろうともしない。
「…俺の目を、ちゃんと見ろ」
逸らして、何になる?
「…確かに、怖いという理由で任務に付かない、なんて無理な話だ。怖かろうが何だろうがやってもらうしかない…職場の同僚としてはな」
「…ふる、や…」
「お前の、AAの友人として言わせてもらう。今まで、傷痕に触れられる度にお前が恐怖を抱えてそれを隠していたのかと思うと……どうしようもなく腹が立つ」
動揺、怯え、恐怖、戸惑い、様々な感情に変わっていくAの表情。痛みがないから、思いのままに身体は動くものだと思っていたんだろ、きっとこうなる前は
「や……っいや、いやだ…っ」
口での抵抗は出来るらしい。背中の傷痕に触れ、指を腰へと這わせる、背中に収まりきらない傷がそこまで伸びている。恐らく動かないんだろう、身体が。Aは強く目を瞑り涙を流してその嫌悪感に耐えていた。震えが大きくなっている、それで、よく仕方ないなんて言えるな
「嫌なら逃げてみろ、出来るだろそれくらい」
それが出来ないくせに仲間を、俺を頼らない気なのか
「逃げないなら、やめないからな」
「っ、」
声が、消える。俺は何に怒っているのだろう、全てを1人で抱え込むAにか、それに気付けなかった自分になのか、それともこの肌に消えない傷を残した犯人へか、Aに触れた者へか、分からない
感情が定まらない、細いな、これだけの傷があっても肌は滑らかで、A自身から発される酔わされそうな香り、拒んでくれよ、俺はお前にこんな形で触れることなど望んでない、いないのに、離せない
視界が暗くなり、柔らかなものが触れる、Aは俺の頭を抱くようにして震える声を出した
「…っもう、やめて…っれ、いまで、怖いと…っおもいたく、ない…っ」
恐怖のみで満たされた瞳に、押し寄せる後悔の波。怖いという感情を持つ自分を肯定させたかっただけだったはずなのに、
俺は、何を
酷い顔色、泣きすぎたせいか過呼吸寸前で、力もろくに入っていない。それに気付かない程、冷静さを欠いた
言葉が見つからず抱き締める、ごめん、A、いつかお前を壊してしまいそうで自分が恐ろしい、守ると決めたはずなのに
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年4月20日 23時