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「さ、降りた降りた」
「嫌だ、帰る」
「A」
「三徹明けだって言ったじゃん…頼むよ松田…このままうちまでおく「何やってんだ、お前ら」
「だあああくっそ、分かったよ!降りりゃいいんだろ降りりゃあ!」
「萩原が拗ねてっからまた次な」
「ふざけんな、仲良しか」
走り去る車に毒づいていたら、肩を強く掴まれ嫌々振り返る。全く、仕事終わらせた意味ないんじゃないかな
「上がったもんだと思ってたが」
「さっき上がったとこ。食事してたの、そこの定食屋で」
「ひっどい顔だな、お前」
「誰のせいで三徹もしたと思ってんだ」
「萩原から聞いてるぞ、メールが入ってた。開いたのはさっきだけど」
「…はいはいすいませんでしたすいませんでした…だからもう帰して!!」
「傷口が開いた、なあ?」
「…走っただけだよ、ちょっと」
「お前のちょっとはちょっとじゃない」
「風見ー…助けてー…」
「Aさん!?さっき帰られたばかりじゃあ…」
二徹目の風見はあたしを引きずる降谷を見て全てを悟ったらしい。ほんと優秀な部下だよ。目が死んでるけど。
自分のデスクに体重を預け立っている降谷は、傍の椅子に嫌々座った私を見下ろしている。怒りと言うより呆れ果てた顔である。
「報告義務」
「どーもすいませんでした。」
「帰ってきたら状態を教えろと言ったよな」
「傷の状態まで詳細に伝える必要はないかと思って」
「それによって仕事内容が変わる」
「動けるか否かの判断くらい自分でする。気を遣ってくれなくて結構だ。確かに傷は開いたが大したことない、そもそも縫ってある、痛みもない、私の傷の開き具合を把握せずとも仕事は十分回るだろ、こっちに来てんなら少しは部下に指導でもしてやれよ零」
「よく口の回る…」
「そもそも、本庁に行くなんつーどうでもいいことを言う為に嫌がらせみたいな電話で、休みの朝一番に人を叩き起こすような報告魔は少しはその携帯を手放したらどうだ。うるっせえんだよ、朝から。勝手に行けよ。寝てんだよ徹夜明けだから」
「…A」
「何」
「口が悪い」
「てめえのせいだろ、っ!」
「今回は嘘じゃなかったか」
「人の腹触りながら何を納得してんだよ…!」
ピンポイントで服の上から傷口を押され、痛みはないものの平然としている降谷に全力抗議。その慣れた顔が余計に腹立たしい。自分が慣れたのもまた悲しいが。立ち上がった降谷はそのまま廊下に出ていこうとする。これだから言うのが嫌だったのだ。
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年4月20日 23時