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報告魔の電話で起こされることもなくゆっくり眠っていられた翌日は、休みが一日だけと言うこともあり家で過ごすことにした。昨日、送ってもらった際、別れ際。
『傷が悪化するようなら仕事はさせないからな』
と、本気でやりかねない顔をされたせいもあってか下手に動く気にもならなかった。そもそも私の仕事を奪う前に死にかかってる部下を助けてやってほしい。
病院で開いたと言われた傷は今も、巻き直した包帯に血を滲ませている。傷自体が少々大きめなのだから血くらい大したことは無い。仕事はこれが完全に塞がるのを待ってはくれないのだ。しかも、痛みもないのに休んでいるのもどうかと思う。萩原も松田も降谷も毎回毎回飽きないなと思うほど同じ反応をするよな、もう慣れたろうに。
いや、慣れないのかもしれない、当人以外は。数秒前の考えを少々改めつつシャワーを浴びた。
所属する場所が違う松田たちと違い、警察学校を卒業してからもずっと共に仕事をしている降谷なんかは、私が傷を隠す度、呆れたように説教して傷口を触って確認する。これはもはや降谷のルーティンみたいなもので、本人も私も慣れているはずだけれど、自分の傷に無頓着な私だって誰かが傷を負う姿に慣れることはないのだから、結局そういうことなんだろうな。
仕方がないということを彼らも理解してる。私も理解してる。私に至っては仕方ないなんて諦めではなく、これが私なのだから別に仕方ないもクソもない。
「髪伸びたかな」
滴のついた髪が少しばかり鬱陶しい。洗面台に置いてあったハサミを手に取って後ろ手に髪を切っていく。最近、鏡をちゃんと見ることがなかったからかあまり気にしていなかった。邪魔だな、短めにしてしまおう。
翌日、会って早々、
「今回結構切ったな〜」
と言った緑川が、人のも切れるんだっけ?と聞いてきたので、やったことないと答えたらその内切ってくれ、と言われた。
「A、長かった頃ってあんの?」
「高校の頃は胸くらいまであったよ、最初だけ」
セルフカットは多分その頃から。短いから頻繁に切りたくなるのも理由だし、人に髪を触られるのがあまり好きではないから自分でやり始めたら出来てしまってそのまま。散切り頭になったらやめようと思ってたけど、違和感なく、そこそこ綺麗に切れている。これ、なんか違うとこに活かせない?
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作者名:真琴 | 作成日時:2018年4月20日 23時