【WT】New world【短編集】

君に全てを。【迅 悠一】 ページ5

迅side



春。

桜が丁度満開の4月中旬。


おれは花見に来た…のではなく、一人の少女に出会いに来た。



迅「こんにちは、お嬢さん」


おれが話しかけるとその子はあからさまに眉をしかめた。変な奴に捕まった、そんな顔だった。

ははっ、そんな分かりやすいと流石のおれでも傷つくな……



迅「おれは迅悠一、22歳。ボーダーだよ。」

そういうと彼女は微かに反応した気がした。


迅「唐突で悪いんだけど、君、ボーダーに入んない？」

『嫌だ』

即答か…。まぁいいんだけどさ。

迅「…そっか。でも君は絶対ボーダーに入るよ。」

”おれのサイドエフェクトがそう言ってる”と何回言ったかもわからないセリフを口にした


『…なんなの？…やめてよそういうの』

迅「…ボーダーが嫌いか？」

『……別に。』

迅「…おれさ、未来が見えるんだ。」


そういう嘘はいいんで、とも言いそうな彼女はずっと桜を見たまま動かない


迅「例えば、そうだな……おまえ、明日車に轢かれかけるぞ。」

大丈夫、無傷だし、寸前で止まるから。

そこまで言っても彼女は聞いているのかもわからないくらいじっとしている


迅「…当たってたらまたここに来て。」



君は絶対来るけどね



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