【WT】New world【短編集】

すでに、歪んでる。【二宮 匡貴】 ページ27

二宮side



「二宮さんお疲れさまでーす」

「お先に失礼します」

「お疲れさまでした」


今任務が終わった
隊室を出て行く部下の3人に、あぁ、気を付けて帰れ、とだけ言った。





時刻は深夜の2時。


学生にこの時間に働かせるのはどうかといつも思っていた。

立派なブラックだろう。


そんなことを考えながら自分も隊室を出た





外に出ると少し寒かった

車は警戒区域を出た所に駐めてある。そんなに距離はないが、その微妙な距離が返って面倒くささを感じさせる





いつもの道を歩いている時にそいつはいた






「……おい。学生がこんな時間に何している」



そいつ、葉山Aは屋根の上に座っていた


煙草を片手に持って。



『…あぁ、二宮さん。こんばんは』


任務だったんですか？
と、薄く笑うそいつにひどくむかついた



俺は屋根の上に上がって


「何してるんだと聞いている」


そいつを見下ろして言った

何も答えない。その代わりに、ふぅーっと息を吐いた。



「ﾁｯ…」



彼女の口から煙が上ってゆく



『二宮さんも吸いますか？』



箱を差し出すそいつに、俺は箱ごと全て受け取った

目の前のそいつは目を丸くしていた。予想外のことをされた、という顔だ



『……あの…』

「これを誰に貰ったんだ」

『……家にありました』


家だと？親から貰ったというのか。
そう考えるとそいつの親にも腹が立った




『貰ったんじゃないんです』





『両親、先月死んだので。』







淡々とそいつは語った。今は俺が目を丸くしていることだろう。



「…だからといってお前が吸う必要は無い」

『まぁそんなんですけどね』



月明かりは雲によって遮られた

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