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グラサンと眼鏡38 ページ38

ーーーAーーー





もう始まっちゃう…



なんかまだ気持ちが…



その時、無意識的にあの席へ目を戻していた。





だるそうに座っていた小田島が、

頭を1回、縦に動かす。




なんであんたが…




でも、



少し緊張がほぐれた気がする。




そして、先生が指揮を振った。





後はもう、練習通り。


ミスはまだ。


あとはソロ…



そして先生の合図で私は立ち上がり、


無の境地で、4小節吹き終えた。




…悪くない出来。


うん。




洋介はいなかったけど、


でも、大丈夫。


乗り越えられた。





演奏が終わり、拍手が鳴り響く。



沢村さんが指笛を鳴らし、拳を上げる。


小田島はゆっくりと立ち上がって、パンパンと2回だけ手を叩いていた。



私はどっと緊張の糸が切れ、


ゆっくり呼吸しはじめる。




すると、奥のドアが開き、私はハッと目を向けた。



あの後ろ姿…




全員が立ち上がり、みんなで礼をする。



私は列を乱さないよう、みんなに従って舞台を降りる。


後2メートル…


自分達の席に着いた瞬間、



私は隣にいるマドカに声をかけた。




『ちょっとトイレ!』





そして、みんなが席に戻る中、


私は奥の扉へ駆け上がった。






ーーー





『ちょっと!!』





会場の外に出た洋介の後ろ姿に声をかける。





『来るならちゃんと言ってよね!!』





「…おいおい」



洋介が足を止め、振り返る。




「来たら来たでキレられんのか。」




『だって、探しても見当たらないし!』



「相変わらず勝手だな。」



私は洋介に駆け寄り、力を込めずに胸を叩いた。



『もー!いないと思って不安だったんだから!』



「……ま、そーでもなかったんじゃね?」





洋介はそう言いながら、

チラッと私の後ろに目を向けた。




何、後ろ見て…




その方を振り返ると、




前髪をかき上げ、立っている男がいた。






小田島「よーお。お取り込み中、か?」




『え…』





なんでこいつが?


私が振り返ったまま固まっていると、

前にいた洋介が私達を見て、首を下に動かした。



「いや、帰るとこだ。」



そう言って、背中を向けて歩き出す。




『えっ? 洋介っ?』



その後を追おうとして一歩踏み出すと、


パシっと手首を掴まれる。




え…




『なに…』

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設定タグ:塩野瑛久 , 轟洋介 , ハイロー   
作品ジャンル:恋愛
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ななし(プロフ) - rriさん» ありがとうございます!更新遅くてごめんなさい。それでも読んでくださってすごく嬉しいです。ワーストの本編の続編を現在書いているので、そちらもお見せできる日が来たら、是非よろしくお願いいたします! (2020年1月13日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
rri(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!最後まで更新していただきありがとうございました!!すごい好みな書かれ方だったのでまた新しい作品書かれる機会がありましたら、読ませていただきたいです!今回のお話もとっても面白かったです!!お疲れさまでした(^_^) (2020年1月12日 21時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 苺華さん» ご指摘ありがとうございます!ミスでした(;ω;) (2020年1月6日 19時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
苺華 - 初コメ失礼します!23話の何故か捕まってたはずの楓士雄の彼女って所は、佐智雄くんの彼女じゃないんですか…??勘違いだったらすみません!! (2020年1月6日 17時) (レス) id: 1128e57cc5 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - rriさん» めちゃめちゃ嬉しいですっ!ありがとうございます!!更新ノロマでごめんなさい。でも、完結させるぞっ!て気持ちになりました。どうか暖かく見守っていてください(^^)ありがとうございます! (2019年12月19日 2時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななし | 作成日時:2019年12月1日 13時

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