Don’t bother me.2 (prince of legend)

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ーーーAーーー



英文を読んでいると、


隣で、そーっと椅子を引く音がした。




光輝「お、おはよう…」



恐る恐る、振り絞る声。



すっごくばつが悪そうだ。



流石に昨日は言いすぎたかもしれない。





私はふうっと息を吐いて、光輝くんを見た。



『おはよ。』




少し緩んだ顔を向けると、光輝くんの顔が
ぱーっと明るくなっていく。



「Aさん、昨日は…」




それと同時に、ガラガラと大きな音を立ててドアが開いた。




尊人「はぁー、眠みー。」



京極兄弟が教室の視線を集める。




ドア近くにいた、ネクストの2人は、

一歩、竜に近づいた。




海司「わっ、どーした？」




竜「なんでもねーよ。」



竜は日浦くんの肩をポンと叩き、言葉を遮った。



尊人はネクストの2人に「わりぃ」とジェスチャーしている。




竜はそのまま、尊人達を通り過ぎ、こっちの席へ歩いてきた。




その口元にはうっすらと痣がある。




怪我…してる。



また喧嘩したのかな…





眉間にシワを寄せながら歩いてくる竜と、
一瞬目が合った。





竜は、他人のような表情のまま、

私を無視して視線を外し、後ろの席へ座った。






あ、そうだった。



もう、関わらないって宣言したんだった。



私が。



出会った時とは全く違う、竜の表情。


たぶん、一生話すことはないタイプ。




尊人もいつもは話しかけてくるのに、


空気を読んで静かにしていた。



なんだか異様な雰囲気が漂う。




うん。


これでいい。



私はもう、後ろの席は見ない。







ーーーー








休み時間、竜はそのまますぐに教室を出て行った。




「A、ちょっといいか？」




尊人は竜が見えなくなると、私に声をかけた。





人気のない屋上への階段の踊り場へ、無言のままついていく。



尊人は怒ってないし、むしろ優しいお兄ちゃんって顔をしてる。








「竜はそんな悪いやつじゃねぇんだ。」





『・・・。』




「何があったか知んねぇけどさ。ずっと今日みたいに行くのか？お前ら。」



正直、どうしていいかなんてわからない。


きっと昨日も喧嘩でしょ…



『…私は別に、どうもしてないし。』




「お前も強情な女だなー。」




尊人は大げさにため息をつき、わざと顔をしかめて笑った。




「まぁ、そのうち許してやってくれな。」



そう言って手を振り、去って行った。

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