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―――光輝―――


すっげーついてる。


今年はついてるぞ。


Aさんが隣に。


これは、去年1年間何も出来なかった俺にチャンスが舞い込んだとしか思えない。



〜〜



1年前、俺は入試に緊張しすぎて、腹痛を起こしていた。

お腹を抑えながら試験会場へ向かう途中、ものすごい波が押し寄せ、廊下で立ち止まってしまった。



『…大丈夫?』



顔を見上げると、綺麗な女の子が、長い髪を耳にかけ、俺の顔を覗いていた。



「…っっ、、大丈夫、、です。」



『体調悪いなら人呼びましょうか?』



「いや、緊張して、ふ、腹痛が…」


そう言うと彼女は『そっか…』と呟きながら、鞄の中をゴソゴソし出した。


『これ、良かったら。ブスコパン。』



「ブ、ブス…?」


『腹痛の薬。私も緊張すると痛くなることあるので。』


彼女はにこりと笑うと、僕に薬を手渡し、『じゃあ。』といって教室に入っていった。



俺はこのおかげで最後まで試験を受けられ、無事合格できたんだ。





エコノミークラスに入学して、彼女を見つけた時、舞い上がりそうなくらい嬉しかった。


あー!!俺の女神。



「おれ、天堂光輝。君、、は、、」



『?』



入試の時とは明らかに雰囲気が違う。

眼鏡をかけ、一つに髪を縛り、下を向いて本を読んでいた。



「薬…くれたよね?入試の時にさ。ありがとう。」



『あ、あの時の。合格してたんですね。良かった。』


彼女はそう言うと、ペコっと会釈した。



あ、、やっぱり可愛い。




「あ、うん。…君のおかげなんだ。えっと名前…」


『AAです。』




Aさんか。


仲良くなりたいな…




そう思っていたが、



何がどーなったのか、


あれから進展することも無く、今に至る。



Aさんは特に目立つ事もないが、成績はいつも優秀だ。


眼鏡をかけて下を向いている事がほとんどだけど、

隙間から見えるその顔は誰よりも美人だと思う。


気がついてるのは俺だけ。


多分だけど。




俺は海司と陸とダンスをやっていて、エコノミーではかなり目立つ方だった。


入学してからは、自慢じゃないけど、結構すぐに人気者になったと思う。


俺達が目立っていくにつれ、Aさんはどんどんよそよそしくなっていった。




そして、いつの間にか話しかける事が出来なくなってしまった。





放課後、ダンスの練習の前に駐輪場から1番に出てくるAさんを、毎日ただ見てるだけ。


そう。今までは。ね。

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設定タグ:プリレジェ , 吉野北人 , 川村壱馬   
作品ジャンル:恋愛
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ななし(プロフ) - ゆなさん» 嬉しいです!ありがとうございます!最後まで読んでいただけたら嬉しいです! (2019年12月1日 16時) (レス) id: 6a3e7ad6c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆな - 初めまして、とても素敵な小説ですね。読むのが楽しみです (2019年11月5日 19時) (レス) id: 3d72f20392 (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 秋和☆°・.。さん» ありがとうございます!!頑張って完結させますね(*^^*) (2019年8月2日 1時) (レス) id: f172c4d98f (このIDを非表示/違反報告)
秋和☆°・.。(プロフ) - 続編の公開待ってます! (2019年7月21日 2時) (レス) id: fd8f2345ac (このIDを非表示/違反報告)
ななし(プロフ) - 雫さん» ご指摘ありがとうございます!直しますっ! (2019年7月6日 19時) (レス) id: f172c4d98f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ななし | 作成日時:2019年6月27日 4時

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