他校の好きな人が排球部のマネになるまで【西谷夕】

◆６ 彼女を例えるならば ページ8

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「流石に無理だ！」



そもそも名前も学校も分からないから、容姿以外に伝えようが無い。
この返事をした時点で俺は好きな人がいると明かしたことになるけれど、まあ仕方ないだろう。




「ケチ、じゃあどんな人かだけ教えろ！」
「どんな人......か」




暗かったからよく見えなかったけれど、俗に言う美少女の部類だということは分かった。深い黒がよくよく似合う人。あとは＿＿＿＿




「雨夜(あまよ)の月みたいな人だな」




昨日調べていて出てきた、彼女にぴったりな言葉。


そのまんま雨が降る夜の月で、あっても見えないものを指す。俺にとっての彼女はいると分かっていても必ずは逢えない人であるし、出逢ったのは月が輝き出した夜で雨が降っていたから。



「ノヤっさんがなんか頭良さそうなこと言ってんぞ！？俺意味わかんねえ」
「漢字は多分雨の夜の月、だろ」
「もしや潔子さんをちょっと湿っぽくした感じのお色気少女か......！なあ、そうなのかノヤっさん！！」




龍が目を輝かせて言うものだから自慢したくなって、
「おう、そうだぜ！」
と言えば、途端に羨ましそうな顔になる。



「まあ応援すっぞ！！他でもない親友の恋、それにどんなに美少女でも潔子さんには敵わないからな！」
「応援してくれんのは嬉しい！だがあいつは潔子さんよりも美しい！！これだけは譲れんっ」


あ、でもあの子俺より小さそうだったし...黒のせいで美しく見えるけどどっちかっていうと可愛い系なのか？




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