他校の好きな人が排球部のマネになるまで【西谷夕】

◆１５ 放った言葉を掴む ページ17

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「見つけたぞ！」



その見覚えのある背中が妙に寂しそうで、悲しそうだったから、俺はそれを振り払えたらと精一杯の明るさで、逢えた喜びも込めて言葉を放った。


彼女は、ゆっくりと俺の方へ振り向いて『どうして』と言った。

その綺麗な瞳には雨か涙か分からない雫が溜まっていて、深い哀しみと絶望が映る。やっぱり気のせいじゃない。




「絶対逢うって、言ったもんな」



雨を弾いている赤のバッグを開いて、借りていた折り畳み傘を取り出す。


呆然としている彼女の前に差し出し「タオルは全然乾いてねぇんだ、すまん」と言って笑った。




『っふ、うぁ......っなんでそこまでするの...？

タオルも、私が勝手に貸しただけなんだしわざわざ届けなくていいのに...それにこんな時間になるまで、待って、探さなくたっていいじゃん......っ』



彼女はやっぱり、泣いている。言い終わった後の彼女は何処か気まずそうに、傘を受け取ろうとしては手を引っ込めを繰り返していた。


おもむろに差し出していた傘を手元に戻し、開く。彼女の隣にゆっくり腰掛ければ、ベンチが一瞬鈍い音を立てた。



雨は大木が広げる沢山の葉達に阻まれて、時折雫が落ちてくるだけだった。





それでも構わず傘を広げたまま俺達の上に掲げ、先の質問に答えようと口を開いた。




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