Give you Biscuits! (ページ1)

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コンビニズ！(福本+小島) ページ1

※連載にしようと思って書いていた作品です。
2024年3月現在、作者はいまだオレンジさんが恋しくてたまりません。すみませんがここで消化させてください。いろんなお気持ちの方がいらっしゃると思いますが、自己責任で読んでいただけると嬉しいです。

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「ぼっろ」

自分の口から出た感想の直球具合に、慌てて周囲を見回した。
人おらんくて良かった。
目の前にたたずむアパートは、おんぼろという言葉があまりにも似合う外観をしていた。
"昭和レトロ"なんて仲介業者がひねり出した体の良いうたい文句を信じたわけじゃなかったけれど、実際目の当たりにすると古すぎて若干引いた。

雰囲気に飲まれて呆然とすること1分足らず。
挨拶用の手土産が入った紙袋が指に食い込む痛みで、我に返った。

今日から俺もここの住人か。

1.第一印象は大事

ズボンのポケットを探って、仲介業者から受け取ってきた鍵を取り出す。細い針金でくくり付けられた紙には、走り書きで"206"と書かれている。

2階へは外階段を使って上がるらしい。
おんぼろアパートにエレベーターなんて近代的な設備はない。階段は全体的に錆びていて、踏んだ瞬間に底が抜けるのではないかと不安になるレベルだ。
昼過ぎに届く家電やらを運び込む苦労を想像して、引越し業者の人用に缶コーヒーぐらいは買っておこうと思った。

出来るだけきしまなさそうな所を踏もうと目線を下げて上っていたら、上からザッザッと擦るような足音がした。

第一住人、遭遇や！

緊張しながら顔を上げると、階段の向こうから白い脚がスッと伸びてきた。
う、わ。
オーバーサイズなTシャツにスウェット生地のショートパンツ。手には財布と、大きなキーホルダーが付いた鍵。
あきらかに"ちょっとそこまで"の格好。
あんまり見られたくないだろうけど、狭い階段ですれ違うのに見ていないふりをすることもできない。

今後のご近所付き合いの為にも、挨拶はしておくべきか。

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