1 ページ1
.
ほんとはね
キラキラもピカピカも
全部好きなんだよ。
自信が欲しい−−−
駅の壁面広告に映し出された、笑顔のアップを見て思う。今ドキ加工されているとは言え、綺麗になれるものは、元からちゃんと綺麗なのだ。
ええなぁ。
ガラス窓に映る自分に不幸にされるのが怖くて、二メートル先の地面を見ながら歩いた。
家の前に差し掛かった時、ちょうどお隣の玄関が開いた。
「おぅ、おかえり」
嫌だ、と思った。とっさに前髪を直す。出てきたのは、おばちゃんじゃなかった。
「ただいま」
言いながら、私は足を止めなかった。けど、トトトっと小気味良い音がしたかと思うと、視界の端に履き潰した黒のコンバースが現れた。
「学校？終わんの早ない？」
顔を上げた瞬間、鮮やかな金髪に目を奪われた。
「テスト終わりやから」
「あーそうか。もうテスト期間やったんか」
「うん」
「高校生組もそんなん言うとったわ」
こんな明るい金色が似合っちゃうんだもんな。
仕事仲間のことを思い出しているのか、優しい目をした幼なじみはやっぱり綺麗で、見惚れている間にも、私の肩には薄っぺらいトートバッグのひもが食い込む。
「ほんなら俺仕事やから、また」
「うん、いってらっしゃい」
「ははっ、いってきます」
財布とスマホしか持ってないんじゃないかという身軽さが羨ましい。
小柄な背中を見送って、自分ちの玄関を開けた。
「ただいま」
「おかえり。あんた今年の夏休みいつまでやっけ？」
「いつやっけな。プリント、冷蔵庫に貼ってるのに書いてるけど」
「そっかそっか、見とくわ」
「なんで？」
「来月、誠也くん誕生日やん」
「あー、そうや」
「日決まってへんけど、誕生会、平日なるかもしらんから」
「分かった〜」
誠也くん。
お隣さんで幼なじみで、
それから
私のコンプレックスだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 481人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三十谷みそ(プロフ) - いとしなもんさん» いとしなもんさん。コメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです😂亀更新ですが、最後までお付き合いただければ！ (2023年4月17日 14時) (
レス) id: 0083c24134 (このIDを非表示/違反報告)
いとしなもん(プロフ) - コメント失礼致します。末澤さんとの入れ替わりがとてもワクワクして面白く続きが早く気になりました🥰末澤さんとの掛け合いも面白すぎてこれからもとても楽しみです。引き続き応援しております💐 (2023年4月14日 4時) (レス) id: a0d3106a6a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三十谷みそ | 作成日時：2023年3月26日 18時
