伍 ページ5
花「蛍、ちょいと。」
遊郭の幼い子らに、花札を教えていたところ。
昼間は自分の座敷から出てこない姉さんに、手招きされた。
「ごめんね、葵、八重。ちょいと行ってくるわ」
葵「えー！姉さんすぐ帰ってくるかえ？」
八「嫌じゃー！！」
「すぐ戻りなんすから…ね？」
妹分の葵や八重に張り付かれ…
ぶすくれる2人をなんとか説得しつつ部屋を出る。
花「蛍はほんに、幼子から好かれるねぇ」
「何をおっせぇすか…姉さんのほうが好かれていすんよ。」
姉さんは本当に、妹分によく好かれる。
私を含め、姉さんの禿は皆姉さんに感謝している。
本当の姉のように私たちを可愛がってくれて、心配もしてくれて…。
�狄叛舛鵜瓩噺世辰董△�客にお金で買われ遊郭を出ることを手助けしていたこともある。
なんでも、姉さんのお客で妹分を大層気に入ったお客がいたそうで。
本来なら自分が一番出たいはずのところ…
妹分のため、と言ってお金を援助したりもしたらしい。
そんな姉さんが、私たち妹分はみんな大好きなの。
花「…ココだよ」
「針子部屋…？」
姉さんが私を連れてきたのは、針子部屋と言って着物を保管したりする部屋。
ここは、普段使わないような着物…
花魁道中の時に来た着物などしか、置いていないはず。
ここに、一体なんの用が…
首を傾げる私に、姉さんは少しだけ笑って扉を開ける。
「…え…うそ、」
そこには、今度私が新造出しといってお客へのお披露目する時に着るであろう着物が飾られていて。
真っ赤な着物に、金の鶴が描かれたものだった。
それはそれは豪勢で美しく、周りを気取る迫力がある。
「…これ、わっちに…？」
新造出しの費用は、今回は半分は姉さんが請け負ってくれ、半分は姉さんの客が持ってくれた。
それにしても、近年こんなに美しい着物を着て新造出しをした遊女はいない。
ましてや、新造出しのお披露目ができる遊女が少ないのだ。
遊郭に売られ、すぐにお客を取り始める女の子もいる中で、しっかり手順を踏んで遊女になれるだけでありがたいというのに。
花「蛍は、わっちの自慢の妹じゃ。伸び伸びとおやり」
こんなの、嬉しくないわけがない。
私は思わず涙が零れる。
でもここで泣いてばかりでは、立派な遊女にはなれないから。
「わっちは…姉さんも気取る遊女になってみせんしょう。」
花「…それでこそわっちの妹じゃ」
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おはよ - 面白いです！更新してくれると嬉しいです (2023年3月23日 9時) (
レス) @page6 id: d4f6705fb9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずの(プロフ) - 和恋さん» 和恋さん初コメありがとうございます(^^)これからも更新頑張りますので、どうぞよろしくお願いします！ (2021年8月31日 18時) (レス) id: b4c9c386da (このIDを非表示/違反報告)
和恋(プロフ) - めっちゃ好きです！更新待ってます！ (2021年8月26日 21時) (レス) id: 736c16840a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チバ | 作成日時：2021年8月25日 16時
