＊Beauty and warmth〜降谷暁の場合〜 ページ2
初めて話した時の、あの瞬間を忘れない。
「弟と仲良くしてやってね」
そう言って笑ったあなたの笑顔は、きっと一生忘れることはないだろう。
あの時は、野球がしたい、ただそれだけで北の国からやってきた。
正直、心細かった。
もしかしたら、またここでも自分は野球が出来ないかもしれない、そんな不安があった。
その不安は、あなたの笑顔１つですべてかき消された。
A先輩。
冷たい国から来て、冷たい野球しか知らなかった自分に暖かい気持ちをくれた人。
笑顔だけじゃなくて、吐息も暖かいことを知ったのは最近だ。
今ではその時間が自分の至福の時。
「降谷、おいで」
にっこりと笑った彼女に名前を呼ばれるのを今日もひたすら待っている。
「はい、爪を出して」
彼女にそう言われれば、まるでお手をする犬のように従順になる。
A先輩の手の上に、自分の手を重ねる。
彼女の手はいつも通り、暖かい。
「取れかかってるね。補強しとこっか」
そう言って、彼女が取り出すのは透明のマニキュア。
以前、爪を割った時に御幸先輩からつけとくように言われたものだ。
しかし当たり前だが、マニキュアなんか塗ったこともないし、実は見るのも初めてだった。
マニキュアを片手にどうしたものかと途方に暮れていたら、A先輩が声をかけてくれた。
「私がやってあげようか？」
その一言から、A先輩が自分の爪を管理してくれるようになったのだ。
彼女の手が、自分の指先を包み込む。
器用に透明なマニキュアを自分の爪に塗っていく。
全部塗り終わると、いつもの�犧埜紊了転紊押匹�待っている。
それが堪らなく、ドキドキする。
自分の緊張が指先から伝わってしまわないか、と更にドキドキする。
「ふぅ〜っ。はい、おしまい」
塗ったマニキュアが早く乾くようにと、自分の指先に息を吹き付ける。
自分の指先が、彼女ともっとも近くなる瞬間。
柔らかい唇が、もっとも近くなる瞬間。
自分の指が緊張する瞬間。
「降谷？」
その緊張を読み取ったのか、A先輩が自分の方に目を向ける。
その姿が、上目遣いで更にドキドキしたのだけど。
それでも、この時間が何よりも好きだ。
他の先輩からは睨まれているけど、そんなのおかまいやしない。
この時間、この瞬間、彼女は自分だけを見てくれる。
･･････正確には自分の爪だが。
それでも、やはり願ってしまうのだ。
(この瞬間がずっと続けばいいのに)
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うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています！更新停止状態のままですが更新はされるのでしょうか？ (2020年9月14日 21時) (
レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
六歩(プロフ) - 空さん» ご指摘ありがとうございます！訂正させていただきました(^-^) (2018年7月22日 0時) (レス) id: b12c942fda (このIDを非表示/違反報告)
空 - 益子じゃなくて増子ですよ〜＾＾ (2018年7月13日 22時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
六歩(プロフ) - うたプリ大好き?さん» コメントありがとうございます。更新頑張ります。 (2018年6月20日 9時) (レス) id: b12c942fda (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています！もう更新されないのでしょうか？ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4e8990689c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：六歩 | 作成日時：2016年5月7日 16時
