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服を着直して、足元にあった鞄を持って部屋を出る



リビングのソファに腰掛ける山田と目が合った



「…お邪魔しました」



山「帰んの?」


え、この状況で朝食一緒に〜
みたいな甘い流れになると?



「帰るでしょうよ!
ただ睡眠とっただけ!
何も覚えてないんだから何もなかった!以上!」



山「覚えてないのはお前だけだろ

ま、事実が知れたら俺の信頼が下がるから
無かったことにしてあげてもいいよ?」



「そうしてください。
気の迷い、他言無用」



山「…気の迷い…ねぇ
昨日のAはいつもより可愛かったよ」



は?
何言っちゃってくれてるの


「っ…あんたに可愛いと思われても嬉しくないしねぇ」



山「そうだろうな
じゃあ"なかった事"にね」


「ん。まぁ山田の時間をとったことは悪かったと思ってる。お世話になりました。じゃ」


山「ほいほい。

…あ」



何か思い出したように、何か言いたげな声がしたので
思わず振り返ると真っ直ぐに私を見る山田の目



山「お前…誰に"可愛いって思われたら嬉しい"の?」



「…ちぃとか?あんまり人褒めないし
本人が可愛すぎるし」



山「最後の一文、禁句だぞ」



「本人には言わないって。じゃ」



山「…道わかる?」



とにかくこの場から離れることしか考えてなくて
予想外の質問に動きが止まる



山「…駅まで送ってやるよ」



山田は私の絶望感あふれる顔を見て
やれやれと言いながらアウターを手にした




2人とも何も喋らないまま
マンションの入り口までついて
周りを見回すと
ほんの数百メートル先に駅が見えていた




「駅近っ。
営業課のエースはやっぱり儲かってんのね」



山「お陰で女の子からモテちゃってねぇ」



「それ、山田がモテてるんじゃなくて
諭吉がモテてんのよ」



山「女にも諭吉にもモテてるの」


最後までこんな会話
私に可愛げのかけらもなければ
山田も私に対する感情などほぼないに等しい

あるのはきっと同期としての情くらい



誰に可愛いと思われたいのかの質問に
山田だよって冗談でも言えたら
少しは可愛いって思ってもらえたんだろうか


それでも口をついて出るのは


「山田の彼女になる人大変そう」


なんて嫌味ばかり

山田だって



山「Aの彼氏になるやつの方が…できるわけないか。あ、じゃコンビニここだから」


「じゃあね」


これが私たちの距離だから
いつのまにかできてしまった
近いのに大きな溝のある距離を後悔しながら
改札を抜けた

.→←Good morning



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裕莉(プロフ) - 相川あゆさん» コメントありがとうございます!亀更新で申し訳ないですが、ラストはある程度早めに書き起こせると思うので最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 (2021年8月28日 22時) (レス) id: 8affa1dc54 (このIDを非表示/違反報告)
相川あゆ - 楽しみにしています (2021年8月28日 16時) (レス) id: ea882a5465 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:裕莉 | 作成日時:2021年8月14日 0時

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