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祭り会場に着く頃には
じきに花火が始まる時間で
人は多いけど、屋台は落ち着いた雰囲気やった
「よく考えたら、まずこの中で会えるんかな…
会えたらすごない？」
「僕りんご飴ー」
屋台の方に引っ張られて
当たり前のように俺が払う
「これだけやぞ…」
俺も食べようかな
他何あるかな…なんて屋台を見回してた時
「あ」
「ちょっと、イキナリ止まんないで」
屋台とは離れて奥の公園へ向かう男女
見覚えのあるシルエットに足が止まった
男の人に手を引かれて歩くA…
明らかに人の流れとは逆方向に向かう人影は
侑李の目にも止まったようだ
「誰あれ」
「2年の桐山先輩…やったかな」
「何でAといるの」
「俺が聞きたいわ！」
2人の距離はさほど近くないけれど
周りには誰もいないし
桐山先輩に引っ張られるように
ついていってたA
侑李が残りのりんご飴を勢いよく頬張り
その口を開けた
「…一旦休戦にしない？」
「俺も思ってたとこ」
「そこらの変な男には任せられない」
「同感や」
2人が進んだ方向へ向かうと
案外すぐに追いついた
この辺りは会場と違って人はまばらで
近くにいるのはいい感じの男女のみ
2人の会話が小声ながら
俺らのところまで届いてきた
「ここらへんまで来たらええかな」
「そうですね」
「ごめんなぁ？無理矢理連れてきてもうて」
Aも満更ではないのか
頬をうっすらピンクにそめながら
首を横に振る
…耐えられん
「A？」
「望！？侑李まで！」
侑李がAの腕を引く
「ほら、帰るよ」
「え、あ、、、」
「ちょ、君ら誰…」
「あ、幼なじみなんです！すみません！
どうしたの？2人とも」
「『どうしたの？』やあらへん！
何してんねん！吉崎と行くんちゃうんか」
「…吉崎さんは…」
「君らが噂の幼なじみくん？」
口ごもったAを助けるように
桐山先輩が口を挟んできた
「ごめんな。
Aちゃん連れてきたっていうより
吉崎さんと俺の友達残してきてん。
…これでわかってもらえるかなぁ？」
謝罪の言葉で冷静に戻る
Aも先輩に同調するように頷いていた
「…なんか、すみませんでした」
「ええよ、ええよ！
ほな俺はここら辺で〜」
俺らが弁解する暇もなく
桐山先輩は颯爽と去って行った
「祭、来てたの？」
「ちょっとりんご飴食べたなって…
…な？侑李」
「まぁ、そんなとこ」
「…そっか」
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作者名：裕莉 | 作成日時：2019年5月18日 10時
