【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その６(春編)

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雑渡『じゃあゆっくり動かすから。私が合図をしたら手から手裏剣を離すんだよ』

「は、はい…」

手裏剣を持つ私の手に添えられた雑渡さんの大きな手、もう片方の手は私の腰に添えられている。
こんなにも男の人を近くに感じることなど滅多にないし、何より慣れていない。心臓の鼓動はバクバクとうるさく鳴り響く。羞恥の方が上回り集中出来ず、目がぐるぐると回る感覚に陥る。要はパニックだ。

雑渡『…手をあげて、はい離す』

雑渡さんの声にハッとし勢いに任せて手裏剣を打つ。的には届かなかったが、的から1m手前くらいで落ちた手裏剣。

雑渡『うん。さっきよりは良くなったね。要領は分かったかな…Aくん、耳から首にかけて真っ赤だけど大丈夫？』

「は、え？！だ、だだだだ大丈夫です！要領はだいぶ分かりました！あとは練習あるのみですよね！！」

雑渡さんの指摘に慌てて首を隠すように彼から離れる。
顔もおそらく真っ赤だ。今更隠しても無駄だろうが、隠さずにはいられない。
彼の顔が見れず顔を下へと向けた。すると、彼は私の頭に手を乗せポンポンと数回優しく撫でてくれる。

雑渡『…初々しいねぇ』

その言葉にも恥ずかしくなり着物の裾をぎゅっと握り締め、彼を少し見上げてみる。
優しい眼差しで私を見つめている彼と目が合い、反射的にまた下を向いてしまった。
ぐぅ…大人の余裕だ。仕方ないじゃん…こんなに近くに男の人が居るなんて無かったんだもん！恥ずかしい以外ないよ！

諸泉『ぬわああああ！！お前たち！そっちに行くんじゃない！！！！こら！どさくさに紛れて雑炊を全部食べようとするな！！！！ちょっと待て！手裏剣を打つんじゃない…打つならちゃんと的を狙って打てよ！！！！』

すると、遠くから諸泉さんの叫ぶ声が聞こえてきたので私と雑渡さんは顔を見合わせ苦笑いを浮かべる。

雑渡『そろそろ戻ろうか。忍術学園に帰ってからも練習してみてね。たまに見に行くから』

「来て下さるんですか！？分かりました！私頑張ります！」

雑渡さんが来てくれるなんてとても心強い。嬉しいという感情が素直に出てしまい思わず身を乗り出す。

雑渡『そんなに喜んでもらえるなら毎日でも君に会いに行くよ』

雑渡さんの目が細くなり彼が笑っているということが分かる。
その後は、急いでみんながいる所に戻った。
カオスすぎる状態だったのは言うまでもない。
…諸泉さん本当にすみません。

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