◎14-31 ページ32
小平太の言葉にハッと我に返ったAは自分が捕まったことを漸く理解する。そして慌てて自分の首元に手を伸ばし紐を確認するがその存在が無いことに気付いた。
長次『…紐ならここに』
そういう長次の手には赤い紐が握られている。いつの間に取ったのだと言わんばかりの表情を浮かべ紐と彼の顔を交互に見つめるA。
土井『5年生と6年生、それぞれが紐を取ったということは、Aくんを学園まで連れて行った方が勝利を勝ち取れるということだな』
山田『日暮れまでもう少しだからAくんが逃げ切れば引き分けになる。だが、その…木に登ったりするのはやめてくれないか…私の心臓に悪い…』
どこからともなく現れた土井先生と山田先生。山田先生は眉を下げ困った顔をしている。Aが木から落ちないかずっとハラハラして見ていたのだろう。
そんな山田先生を見て肩を竦め小さく「すみません…」と謝るA。
長次がそっと彼女を地面へと降ろし、体についた葉っぱや木の枝を取り払ってくれる。
仙蔵『…そもそも、お前たち2人が木の下で争いを起こさなければAが落ちることも無かった…とは言いきれないが、引き金を引いたのは確かだ。反省しろ』
仙蔵が腕を組み文次郎と留三郎をきつく睨む。痛いところを突かれた2人は傷を弄られたように顔を顰めた。そして目尻を下げ口を開く。
留三郎『悪かった、A…』
文次郎『…すまん。俺としたことが周りが全然見えていなかった』
「いいよ、気にしないで。勝負だもんね、熱くなるのは当然…」
そこまで言うとAは「この勝負って確か5年生VS6年生だよね…なんで2人が争ってんの?」という疑問が浮上するが直ぐに「犬猿の仲だもんな」という答えに辿り着き自己解決した。
勘右衛門『というか、Aって気配消すの上手だよなぁ。何か秘密の特訓でもしてんの?』
「ん?ん〜…特訓というか、教えてもらったというか…」
勘右衛門の問い掛けに急に歯切れが悪くなるAに違和感を覚える上級生。
問い詰めようとした時、山田先生が話に割って入って来る。
山田『利吉に教わっているんだろう?話は利吉から聞いてるよ』
「あ、そ、そうなんです!もし何かあった時に役に立つかもしれないからって」
72人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りっか(プロフ) - 雅さん» 急にお兄ちゃんって呼ばれたらそりゃ赤面しますよねwwwでもあの二人の関係は先輩後輩であり兄弟でもありです!熱血ですもんね!2人して! (2022年11月5日 11時) (レス) id: a1a5c64e20 (このIDを非表示/違反報告)
りっか(プロフ) - 雅さん» 遅くなってすみません!!分かります(笑)何とも言えない気持ちがお腹の辺りをうずうずさせられました(笑)でも留三郎はやっぱ三男だったんだな〜って思いましたね。個人的にはあの面倒見の良さから下にも居るのかな?なんて思っていましたがどうなんだろう🤔 (2022年11月5日 11時) (レス) id: a1a5c64e20 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 浜守一郎さんの恥ずかしい表情と食満先輩がびっくりするぐらいの真っ赤な(?)表情、「可愛かったな…😳」っと思って(笑)※『籠城の記憶の段』のお話より。 (2022年10月22日 19時) (レス) id: 6b30a233dd (このIDを非表示/違反報告)
雅 - りっかさん» りっかさん…確かにヤバかったです…🥶私、恥ずかしいくて死にそうで涙が出てしまいそうですぅ…正直に『お兄ちゃん』って呼ぶのはやめて欲しいです…はい…😭🌀 (2022年10月22日 18時) (レス) id: 6b30a233dd (このIDを非表示/違反報告)
りっか(プロフ) - 忍たま好きさん» 忍たま好き様ありがとうございます(´;ω;`)そう仰って頂けてとても嬉しいです…一日に1行程度しか書けない状況ですが今後ともよろしくお願いします! (2022年10月16日 20時) (レス) id: a1a5c64e20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りっか | 作成日時:2022年8月21日 8時