【忍たま】事務員兼何でもお助けピンチヒッター係って何だよ？！その11(夏編)

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少しの間、滝夜叉丸は無言で彼女の寝顔に見惚れていたが、ここで寝るなんて無防備にも程があるので肩に手を置き軽く揺すった。

滝夜叉丸『Aさん。起きてください』

「んぅ…あ、え、あ？！た、滝夜叉丸…なにっ、え？」

すると彼女は眉間に皺を寄せながらゆっくりと目を開いていく。おそらく視界がぼんやりとしているのだろう、焦点が定まらない瞳で滝夜叉丸を少しの間ぼーっと見つめたあと、カッと目を見開き驚いた表情で慌てふためき始めた。
その様子に小動物を連想させるものがあり、滝夜叉丸は失礼も承知で可愛いなんて思ってしまう。

滝夜叉丸『気持ち良さそうに寝ているところすみません。しかし、こんなところで寝ていると体を痛めますよ』

「あ…ご、ごめん…起こしてくれてありがと」

滝夜叉丸『…(寝起きのAさんの破壊力が凄まじい…)』

滝夜叉丸が忠告をすると、彼女は少し恥ずかしそうに頬を赤らめながらへらりと笑った。
そんな彼女を見て滝夜叉丸は胸がぎゅうっと締め付けられる感覚に陥る。

「ふぁ〜…」

しかし彼女は未だに眠そうに大きな欠伸をしている。そんな姿もまた可愛いなんて思いながら滝夜叉丸は首を傾げ問い掛けた。

滝夜叉丸『だいぶお疲れのようですね。仕事が忙しいのですか？』

「あ、ごめんね、みっともない姿見せちゃって…仕事は忙しくないよ」

滝夜叉丸『では、何か別のことがお忙しいのですか？宜しければこの平滝夜叉丸がお手伝いして差し上げましょう』

「だ、ダメ！…あ、じゃなくて、その…だ、大丈夫！別にただの寝不足なだけだから！心配してくれてありがとう、私そろそろ行くね！またね！」

滝夜叉丸『え、あ、Aさん！？』

ただ手伝うと言っただけなのに何故か彼女は食い気味に駄目だと言ってきた。その剣幕に驚きを隠せない滝夜叉丸は目を丸くする。
そんな彼を見て彼女はハッと我に返り縁側から素早く立ち上がると慌てながら去っていった。その姿に何処か違和感を覚える滝夜叉丸はただ彼女の後ろ姿をじっと見ていた。



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