what ill is【短編集】 (ページ8)

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矢花の震える背中は少しずつゆっくりになって、

やがて力が抜けたように俺の肩に倒れた。

俺も、最後の涙を拭いて鼻を啜る。

白「かつきが、よかったんだよ」

「…」

白「迷惑、だよね…」

「…ぇ？」

白「俺だったらやだもん。

死ぬ前の思い出作り一緒にしてくれって頼まれるの」

“だけど、かつきと一緒がよかった”

矢花の落ち着いた深呼吸とは対照的に、俺の鼓動はどんどん速くなる。

どうしたらいいかわからなくなって、なんて答えればいいかわからなくなって、ただ外を見つめた。

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白「…かつき…？」

「俺は、…迷惑とか思ってないし、嬉しい」

そう言うと何が面白いのか体を丸めて笑い始めた矢花

釣られて俺の口角も上がる

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俺と矢花の笑い声だけが世界に音を作った

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白「あぁ、久しぶりに笑った」

「何が面白いの」

白「わっかんない」

「変だよ」

白「…？」

「矢花が行きたいっていった場所どこにいっても楽しそうじゃなかったのに、

何で俺見て笑うんだよ」

白「なんでだろ、かつきといると生きていたくなる」

“死んじゃうんだけど”

といいながらベッドに寝転がった矢花の顔は、笑顔だった。