好きなのに56 ページ8
黒咲「お嬢様…?」
桃姫譁「手、引っ込めるわよ。」
桃姫譁ちゃんは黒咲を見下ろしながら手を差し伸べていた。私はその光景が信じられなかった。自分を殺そうとしてきた相手を助けるの?
いくら信用してた人だからといってそこまでする必要性は?裏切られたんだよ?
黒咲「私はお嬢様を…」
桃姫譁「ならいつまでお嬢様呼びする気?」
黒咲「あっ…」
桃姫譁「私のことさっきっからずっとお嬢様、お嬢様って呼んでたわよね?まだ貴女の中で私はお嬢様ってことでしょ?」
黒咲「それは習慣的な問題で…」
桃姫譁「私ね、アンタに裏切られてすごく悲しいし、怒った。でも…小さい頃を思い出しちゃうから…」
その言葉に黒咲は、はっ!とした顔をして桃姫譁を見つめた。
桃姫譁「よく私が1人で寝るの寂しい寂しいって言って朝まで隣で一緒にいてくれたこととか、泣いてるときにお菓子をこっそりくれて元気づけてくれたこと…他にもたくさんの思い出がある…あり過ぎるの!」
桃姫譁の目には涙が浮かべられている。全ての想いを吐き出すかのように最後の声は掠れていた。
黒咲「しかし、私はお嬢様を嫌って…」
桃姫譁「なんとなく心では分かってた。こんな性格の私をいくら寛大なアンタでも全てを受け止めてくれてるとは思ってなかったわ。だからそれは承知の上よ。でも、やっぱり…」
「事実を突きつけられると脆いもんね。」と、桃姫譁は微笑みながら言った。
黒咲「私は…」
桃姫譁「言っとくけど、雪落に勝ってほしいから手をかしたんじゃなくて諦めてほしいから手をかしたのよ。」
貴女「諦めさせるために?」
桃姫譁「そう。アンタじゃこの集団には勝てない。意味のない勝負が生むのはただの傷よ。そんなの持ってたって苦しいだけ。」
乱数「桃姫譁オネーさんの言う通りかも。僕はオネーさんをむやみやたらに傷つけることはしたくない。」
幻太郎「小生もそれは心がやられますね…」
帝統「お前にはなんだかんだ世話になったしな。」
貴女「争いごとは何も生まないのと同じね。」
桃姫譁「さあ、雪落…アンタが自分で決めなさい。私の手を取るか、無意味なバトルをするのか…」
黒咲は下を見ていた。それはまるで考えを頭の中で一生懸命巡らせているようだった。
黒咲「私は…自分は…」
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ルルア - おと姫と愉快なサカナたちさん» コメントありがとうございます!その案良いかもしれませんね…!私の最後に書くお話になれますね! (2021年12月10日 22時) (レス) id: ba79c5f61a (このIDを非表示/違反報告)
おと姫と愉快なサカナたち(プロフ) - 桃姫譁ちゃんの後日談とかみたい!桃姫譁ちゃん幸せになったくれ…🥺🥺🥺🥺 (2021年12月2日 1時) (レス) @page18 id: e21618e8ed (このIDを非表示/違反報告)
ルルア(プロフ) - らみさん» うわああ!嬉しいです…!桃姫譁ちゃんと黒咲のお話も気に入ってくださり嬉しい限りです! (2021年5月27日 17時) (レス) id: 014ef85129 (このIDを非表示/違反報告)
らみ - ルルアさん» 私はこの作品めっちゃ好きですよ!姫百合、いや!雪落ちゃんと桃姫譁ちゃんの話がもうティッシュ、いや、大きいタオルがないと見れませんでした! (2021年5月27日 14時) (レス) id: 46b37efe83 (このIDを非表示/違反報告)
ルルア(プロフ) - らみさん» らみさんありがとうございますぅぅぅ(泣)そう言ってくださり本当にありがとうございます! (2021年5月27日 6時) (レス) id: 014ef85129 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルルア x他1人 | 作成日時:2021年4月4日 23時