5.大人 ページ5
車が向かった先は、
賑やかなファミリーレストラン。
智「はい、とうちゃ〜く」
華麗な運転技術で、綺麗に車が駐車場に止まった。
智「降りていいよ？」
「…はい」
あまりに華麗な運転で
ボーッとしちゃってた。
慌ててシートベルトを外して車から降りる。
智「じゃあ行きますか！」
大野さんが歩いていくその後ろに付いて行く。
.
お店に入ると、ファミリーレストランだけあって
家族で晩御飯を食べに来ている人達でいっぱい。
.
……、私も家族で来てみたかったな。
なんて、もう叶う事もないのに。
.
店員『何名様でしょうか』
智「２人で」
店員さんと大野さんが話している中、
無意識に仲良くご飯を食べている家族に目がいく。
.
智「Aちゃん！何突っ立ってんの！」
「…あ、」
慌てて大野さんのところまで走る。
またボーッとしちゃってた…
.
.
.
智「さっきからボーッとしすぎ(笑)」
「ごめんなさい…」
智「…疲れた？」
「…、疲れてない」
智「無理しちゃダメだよ？」
今度は心配そうな表情で私に問いかける。
「はい」
智「…よしっ！元気出すためにいっぱい食べよ！」
いろんな美味しそうな食べ物が載ってるメニューを見て私が決めたのは
〈ハンバーグオムライス〉
智「…それだけ？」
「はい」
智「ほんとに遠慮しなくていいからね。その為に安いファミリーレストラン選んだんだから(笑)」
そんなことまで考えてたんだ…。
智「んじゃ、俺ドリアとチョコレートパフェにしよっかな」
見た目は華奢なのに、意外と食べるんだな…
チョコレートパフェかぁ…
確かに美味しそうだなって思ってた。
智「…パフェ頼む？」
「えっ！……、いや、いい」
智「なんで？食べたそうに見てたじゃん」
「いい。いらない」
冷たくそう言った。
智「……そっか(笑)」
一瞬悲しそうに笑う大野さんを見た。
「……」
.
大野さんが " すいませーん "
と店員さんを呼んで
私は、ハンバーグオムライス。
大野さんは、ドリアとチョコレートパフェを頼んだ。
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作者名：な り き | 作成日時：2017年8月7日 1時
