20.冷たい空気 ページ20
智「いえ、今少し時間をください」
父「…愛、家に入っときなさい」
愛ちゃんはお父さんと泣きそうな目を合わせ、震えながらドアを開ける。
その一瞬、俺を心配そうな目で見た。
俺は大丈夫だと小さく愛ちゃんに頷き
愛ちゃんは静かにドアを閉めた。
.
.
愛ちゃんのお父さんと２人きり。
何から話そうかと考えていたら
父「聞きたいことってなんですか？」
なんとも余裕そうな声で、何もないですよとでも言うように俺に問いかける。
.
智「…単刀直入に聞かせて頂きます。お父様、何か家庭内で問題はありませんか？」
父「問題ですか？特に無いですね」
考える暇もなく、淡々と答える。
智「…愛ちゃんが今日学校も無いのに学童に来たんです」
そう言うと、お父さんが一瞬考えてハハッと笑う。
父「そうですか。確か、あなた大野智先生って言いましたよね？」
智「…はい」
父「愛はよくあなたの話をしてますよ。まだ６年生だけど、きっとあなたの事が好きなんですよ。だから会いに行ったんじゃないんですかね」
.
さっきは居なくなってビックリしたとか言ってたくせに。
父「あー、でも。小学６年生に手は出しちゃダメですよ？(笑)」
なんて、半笑いでそんな事をぬかす。
.
智「っ…そんな事断じてありません。おかしいと思いませんか？学校も無い日に学童に来るなんて」
父「さぁ？あなたに会いに行っただけだと思いますけどね」
智「……泣きながら、必死に俺に助けを求めて来たんですよ」
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作者名：な り き | 作成日時：2017年8月7日 1時
