１）好きって言って -O.S- (ページ11)

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11.初めての晩御飯ページ11

この家に来て、

今日が初めて２人で食べる晩御飯。

.

智「っ…美味い…。すっごい美味いよ！Aちゃん凄いね！」

ほんとに美味しそうに食べてくれる大野さんを見て、作って良かったなと思った。

「よかった…」

智「Aちゃんのカレー美味しいね！俺この味付け好きだな～」

「…、それ、お母さんが教えてくれたの…」

なんだか恥ずかしくて下を向いて言ったら
大野さんからの返事が来なくて
不安になって、静かに顔を上げると

「っ…」

優しくて…、でも、悲しそうな表情で
私を見ていた。

智「そっか。Aちゃんのお母さんは料理が上手だったんだね」

ふと思った。

大野さんは私の家の事情を全部知っているのか…。

.

「…大野さんのお母さんとお父さんは、どんな人…？」

すると、さっきまで元気だった大野さんが
急に悲しそうな、泣きそうな顔でフッ…と笑った。

智「…俺のお父さんとお母さんはね。もう居ないの」

衝撃の言葉に、ドクッと心臓が鳴る。

「…死んじゃったんですか？」

そう聞くと、

少し間が空いて
大野さんがフルフルと首を横に振った。

智「ううん。死んでないよ。…死んでないけどね、もう側には居ねぇの」

…どうゆう意味なんだろう。

悲しそうな目をしているのに、口元は少し笑ってる。

智「ごめん(笑)なんか重い空気になっちゃったね(笑)てか、ほんとこのカレー美味いわ～」

なんで最後まで話してくれないのか。

…なんて、

そんな事言えそうもない空気で…

まるで、これ以上は聞かないでというように

元の大野さんに戻った。