平行無幻星辰・トゥルウ 3 【世界一クラブ】

ep14. A little away ページ10

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「まだ世界がある意味で1つだった
時代、まだ魔法使いがそう呼ばれる
前の話」




徳「呼ばれる前の...？」




「私が最初に産まれた
年に、その人も現れた」



徳「その人？」




「私の兄」



クフは意地悪く笑い水に一回
沈み、また上がってきて話す




「その人は私によく似ていて
似てなかった、両親が『そう』
創ったから」




「で、そっから2人ぼっち
で世界を回り始めたんです」



兄と妹、師と弟子
父と娘、母と息子



妻と夫のように



徳「...楽しかったんだな」




「だけど、永い日にちが経つ頃に
私達はお互いを見たくなくなった」




自分と似た体と貌をしてるのに
中身が違う、言うなれば自分の
黒歴史を見ているような





「私は物事の覚えが良い反面
内情を理解できず、兄はその
反対で」



徳「ふぅん...」



「で、兄が別れを切り出して去った」



「みたいな？」



クフは光一に問うた、もし自分が
愛してる存在が自分から離れよう
としたら



徳「え...えー...」




徳「....クフはどうした？」



「そりゃブチギレて大乱闘
の末に兄を縛り付けました
よ」




徳「コワッ」




「いやむしろ優しい方ですよ？
酷いヤツだと一生その人を......
........いや、やめとこ」




徳「コワッッッッッ！！」



「それぐらい手放したくなかったん
です、一生を共に出来ないなら一生
塞がれない傷になりたいんです」




「だから」




「私がマスターに全てを話さない
のもそういった理由なのかもしれ
ませんね」




クフがそろそろ出ようと言い
泳ぎ出したので光一もそれを
追う





光一が服を絞ってる間にクフは
和馬の元に向かう、和馬も質問
をする



和「先代は最初から光一
に、入れ込んでたんだな」




「いや、全然？」




和「え」



「それはそうだろ、頭だけが
取り柄の子供なんて材料だけ
しか利用価値がないと思うが」



和「何の材料...？」




「でもいつの間にかあの人に
求められるのが楽しくなった
何で話してくれないんだって
憤慨されるのが嬉しかった」



歪だ...とドン引く和馬にデコ
ピンする、和馬は額を摩った



和「だけど、それは...先代が
されて嫌な事じゃないのか？」




「嫌だけど、やるんだよ」



「だって、その方が魔法
使いらしいじゃないか？」



光一の背を眺めながらクフは
苦々しくも楽しげな、表情を
浮かべた

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