そばに居るから。 2 (ページ25)

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side涼太

龍友くんとシェアハウスの話をしてから早いもので、いよいよ明日には東京へ行く。

龍友くんの優しさに甘えてのシェアハウス。

本来なら俺は、ひとり暮らしなければならないのに。

全く血の繋がりもなければ、昔から知っているわけでもない。

なのに龍友くんは、どうして俺のためにここまでしてくれるのか。

1度だけ、聞いたことがあった。
龍友くんの家に転がり込んで、数日が経った夜。

"なんでかわからん。せやけどこいつは、こいつだけは。何がなんでも僕が守ったらなあかんって思った。"

龍友くんはそう言った。

それっきり、そんな話はしなくなっていた。

あの日、龍友くんが俺に声をかけてくれていなかったら。

俺は今頃、どうしていたんだろう。

なんて考えるのは今日で終わりにするんだ。

明日からは東京。

新しい、未知の世界なんだ。

龍「準備できたー？」

涼「できたっ！」

片付けた荷物を見る。

龍-母「ふたりとも、終わった？じゃあちょっとおいで」

タイミングを見計らったかのように入ってきた龍友くんのお母さん。

龍-母「これ、持っていきな」

そう言って差し出されたのは、小さなお守り。

龍「なんで手作りなんだよ、ダサくね？」

龍-母「こら」

どうやら龍友くんのお母さんが作ってくれたようで、涼太と名前まで入っていた。

涼「…っりがと！俺、本当に大切にするから！」

初めてもらった"プレゼント"

誰かが俺のために何かを手作りしてくれることが、こんなにも嬉しいんだと思えた。

龍-母「そんなに喜んでもらえたら、作って良かったわ。ほら、龍友もちゃんと持っててね」

龍「仕方ねぇなぁ」

ぶつぶつ文句を言いながらも龍友くんは、大切そうにそのお守りをかばんに付けていた。