そばに居るから。 2 (ページ19)

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side龍友

初日に涼太がパニックになってからは、特にハプニングも事件も起きることはなかった。

涼太は朝が弱いらしく、自分で目覚ましをセットしても起きれないようで。

龍「涼太、朝やで。起きや、ご飯行くで」

僕の朝は、涼太を起こすことから始まるようになっていた。布団を剥がして、若干強引に起こす。

涼「…ん、おはよ」

龍「おん、おはよう」

涼太のフワフワした髪の毛をクシャっとしながら言葉を交わす。

涼太とこの数日間過ごしてみて、最初は戸惑うことばかりだった。

15歳のわりに、本当に何も知らない涼太。

まず、ベッドを知らなかった。
初日の夜、当たり前のように床に寝転んだ涼太は、毛布や布団を掛けることなく丸まって目を閉じようとしていた。
慌ててベッドへ連れて行ったものの、ベッドは初めてだと言って不安そうな涼太のために、ふたりで一緒のベッドに入って寝た。

それからも、色々と衝撃的な行動を繰り返した涼太。

だけど僕がいちばん驚いたのは、食生活だ。

合宿では朝起きて、ちょうど7時に朝ごはんが始まる。お昼ごはんは12時、夜ごはんは19時と決まっていた。

涼太は、ごはんは1日2回だと言った。
それも、メロンパン1つ。

15歳とは到底思えない小柄で華奢な理由が分かった気がした。

それと同時に、このままじゃ涼太が壊れると確信した。

それから、お風呂の時に見た体の痣。

"虐待"

頭に浮かんだこの言葉が、確信になっていた。

だけど涼太に深く聞くことも出来ず、ただひたすら時間だけが過ぎていった。

知らないことだらけの涼太からは、出来るだけ離れないように行動した。

まぁ涼太も僕以外の人と関わらないから、僕から離れていくことはなかったけれど。

龍「なぁ涼太。合格したらさ、シェアハウスせえへん？」

涼「シェア、ハウス、」

龍「そ。一緒に住もうや」

涼太が心配やから、とは言えず。

龍「最初はお金もないし、一緒に住んだら家賃も半分ずつでいいやん？」

涼「あ、」

龍「まぁ考えといてや。そうなったら…今の家は出ることになる、けどな」

すぐに答えを要求するつもりはなかった。

だけど。

涼「…出たい、俺、今の家、出たい」

涼太のはっきりとした声が聞こえてきた。

涼「一緒に住んだら、龍友くん、色んなこと教えてくれるやろ？」

涼太は僕の顔をじっと見てそう言ったんだ。