教 ページ3
もう夕焼けが終わる頃。当たり前に学園の中の忍たまは、一人足りなかった。
留｢遅いな｣
小｢私も着いていけば良かったなー｣
文｢多分あいつは断るぞ、責任感があるからな｣
仙｢そんなことを言って貧乏揺すりが煩いぞ文次郎｣
空の色が変わっていくに連れ、六年生の不安は増す。
それでも｢一人で大丈夫｣と言った彼女のやる気を汲んで待っていた。
伊｢大丈夫だよ、包帯も持たせたし！｣
長｢それだけ？｣
伊｢あ、救急箱ごとの方が良かった…？｣
はっとする伊作に他は呆れるが、いつものことだと上手く流す。
彼女に魔の手が届いたことも知らず、其の日帰ってくることのない彼女の帰りを待ち続けた。
＿＿
八方斎｢お前に教えてやろう｣
八方斎さんと言う人が、私の前で口を開く。
私はどうして此処に居るのだろう。
思い出せなかった。
ドクタケという軍の城内だと言うけれど、どうして私なんかがお城の中に居るのか、頭の隅を探しても、少しも思い出せない。
不安しか感じられない私を安心させるように、優しい声で自分のことを教えてくださった。
こんな話を始めたのは、私が大分状況を理解して落ち着いた頃だった。なんて優しい方なのか、私が記憶を取り戻すまで此処に置いてくださると仰るのだ。
『何をですか？』
八方斎｢忍術学園について｣
『にんじゅつがくえん…』
八方斎｢将来忍者として活躍する生徒を忍者のたまご、つまり忍たまとして育てる学校だ｣
『へぇ、忍者を…そんな学校があるのですね。じゃあきっと優秀な忍者として輩出されているのでしょうね』
八方斎｢そう思うか？｣
私が敬服すると、八方斎さんは暗い顔をして顎を引き、私を見上げる。
その目は私に何かを訴え掛けているように思えた。
八方斎｢彼奴ら……忍術学園は…悪党だ｣
『…どうしてですか？忍者はこのお城にもいらっしゃるみたいですし、必要な人材なのではないですか？』
八方斎｢普通はな。しかし忍術学園は違うのだ｣
八方斎｢悪事を働かせる為に子供たちに間違った社会を教え教育し、闇に染まった忍者として卒業させる。そういった学校だ｣
『そうなのですか……？』
私が聞き返すと、ゆっくりと頷いた。
『そんな……酷い…』
何も知らない子供たちを良いように使うなんて、許せない……
八方斎｢本当にそう思うか？｣
『勿論そう思います悪いことをするなんて許せません。そんな学園、』
『あってはいけません』
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作者名：ピーナッツ | 作成日時：2023年11月20日 7時
