逢 ページ13
八方斎｢忍び込むと事務員の小松田秀作が入門票への記名を要求してくるかもしれん｣
『事務員ですか？』
八方斎｢ああ、へっぽこなのだが侵入者の気配の察知能力だけは優れていてな。かなりしつこいぞ｣
『分かりました。皆さんはどうするのですか？』
今の話だけだと私一人で行くように聞こえる。
八方斎｢儂らは後から入る、側で見ているから。お前なら大丈夫だ｣
『はい、心得ました』
何かお考えがあるのだろう。
そして私は、囲いとなる土壁の上へと降り立った。
身を屈め、探る目を流す。
『………此処が…』
中を除くと幾つもの建物が並んでいた。本当に学校のようで、鐘楼も見える。
此処からでは隅まで見えない程広い敷地。在る所には草木が生い茂り、風に緑が揺れている。
…おかしい。どうしてか、懐かしさを感じるような。
そういえば小松田秀作という事務員が現れない。どうやら気付かれていないよう。
侵入者察知能力が長けているとはいえ、私に気付かないとは。事務員の能力がその程度のものなのか、それとも私が少し優れているのか…と我ながらも感心して自惚れた。
さて、先ずは何処から乗り込もうか……
｢A……？｣
その時下の方から声が聞こえた。
塀から顔を出し、上ばかり見ていて気付かなかった。折角忍べたのに、
とはいえ見つかってしまっては仕方がない。
目線を下に向けると、六人の男の姿が目に飛び込んできた。
留｢A…？Aなのか、…？｣
文｢おま…っA…！？｣
大人びたように見えるが若い六人。間が抜けたような顔で私を見上げている。
小｢A……！！！｣
伊｢A…！？本当にお前なのかい！？｣
長｢A…｣
『…………は？』
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作者名：ピーナッツ | 作成日時：2023年11月20日 7時
