苦悶 ページ31
感じたことの無いあまりの苦痛に、なるべく呼吸を最低限にしようと試みるも全然敵わなくて。更に空気を求め気道を開けては誘い込んでしまう。
『だれか…っ』
未だに縄から解放されない為、口と鼻を抑えられないという生き地獄。
まるで撒菱を飲み込むような喉の痛み。滲みるような刺すような眼痛。熱い涙が視界を歪ませる。
『は、…やく……で、な、ぃと』
倒れ伏し、死んでしまいそうな程苦悶しながらも、どうしても開けたい、どうしても逃げ出したい戸を、涙でぐしゃぐしゃの睫毛を上げて睨み付けた。
助けを乞う私の声は酷く掠れ、小さなものだった。
そろそろ熱を感じ始め、嗤笑するかのように勢いを増した火が、私を取り込もうと迫っていた。
戸も直に塞がれるだろう…もう頑張っても無駄かもしれない。私には火の中に突進する勇気は無い。そんな弱音を心の中で隠し切れず、憎い赤を目に溢れさせた。
咳が止まらない。声が出なくなってきた。自分の咳だけでも喉が壊れてしまいそうなのに、黒煙が傷口に塩を塗る。
小屋の中の酸素を殆ど飲み込んでしまい、もう意識が…と瞼の力が消えていく。
ﾄﾞｶﾞｧﾝｯｯ
床までにも伝わる衝撃音に、落ちかけた瞼が反応する。
その目に一瞬映ったのは、さっきまで戸があった場所に現れた暗闇だった。そして直ぐその上に濃い緑が映える。
小｢Aっ！！！！｣
『っ…こ゛』
私がものを言う前に、床に転がり、力を失った私を小平太は一瞬にして抱き上げ、ひんやりとした空気で一杯の外に連れ出した。
今まで熱い中に居た所為か、外が冷蔵庫のように冷たく感じた。
焦げた煙の匂いが私の身体から取れず、まるで煙がまだ私を逃がさないとでも言っているかのようだった。
小平太が足を止めると、直ぐに他のみんなが寄ってくるのが分かった。
縄を解いてくれ、長時間の拘束から解放された手首の感覚は思った通り、おかしくなっていた。
留｢Aっ！！！｣
文｢Aっ無事かっ！！！｣
伊｢怪我は！？大丈夫かいっ！？｣
仙｢意識はあるな…！！｣
長｢A…っ｣
『……ぅ゛、ん』
まだ喉に突っかかるような違和感が残っていて声がするりと出なかった。咳を混じえながら必死に無事を伝えるため、首を縦に振った。
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雅 - ふたばさんが描いたイラスト、華やかさがあって可愛いらしいなぁーっと思って😅(笑) (2022年8月6日 23時) (
レス) @page22 id: 977bcdf555 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 作成していた映画での小説、お疲れ様です🤗🫧✨ (2022年8月6日 22時) (レス) @page22 id: 977bcdf555 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピーナッツ | 作成日時：2022年7月22日 7時
