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朱雀視点
名も知らぬ人の子が我を呼んだ...それだけでも驚きなのに...我に向かって手を伸ばした...その子を見れば...嫌でもわかる...白蛇....あやつそっくりな...少年...
「朱雀様その子供をどう為さるつもりですか...?」
「どうしろと言われても....こんな事滅多にないぞ...」
よく見れば少年の顔色は良くない...足や腕に巻いてある包帯も外れかかっている...ならば仕方あるまい...そばに居る者たちには...もしこの少年を探しに来た人がいるなら我の所まで来るようにと伝言を頼んで急いで戻る....
「...包帯はこれでだいぶマシになったか...?」
連れてきたは良いものの包帯も巻く機会がなくはらりとすぐに外れてしまいそうだ...すると我に寄ってくる白い蛇が...どうやら妖怪ではあるようだが...少年に近づくやいな....するりと口をこじ開け中に入っていった...尻尾を掴んだがするりと抜けられたが...
「...穏やかになっている」
さっきまで苦しんでいたのに...ふわりとした表情になってはいるが....中に蛇が入ったままだ...にしても本当にそっくりだ....少し席を外して戻れば先程の少年が転びかけたり白蛇を吐いたり...して...挙句の果てには斑点模様を見られて怒鳴られてしまった...なんだか....白蛇にそっくりなのだ...我もよく....怒られたなぁ....
「...我は朱雀....剣武魔神の朱雀だ...どうか...覚えてくれ」
『....すざく...』
「そうだ...ソナタの名は?」
「A....玄蛇A」
「そうか...Aか....」
あぁ....本当によく似ている....優しかった...怒れば少し怖かった...我と白虎をよく護ってくれた...我らよりも...ずっとずっと前で...ずっとずっと苦しんで...
「白蛇!我は好きだぞ!」
「朱雀...我はジジイじゃ」
「相変わらず...朱雀に言い寄られてるな...」
「おい!朱雀!白蛇は俺と訓練するんだー!」
「騒がしいねぇ...」
「....変わらん」
あの日々が....戻ってくれれば良いのに...もう....白蛇は居ないというのに...酷く...戻ってきて欲しい...もう一度...夢がみたい...
『...すざ...くは....良い人なの...ずっと前から....知ってる...僕...朱雀の事....すき....だよ』
「朱雀.....いい加減笑うのじゃ....だぁぁ....知っておるだろう?朱雀のこと好きじゃ...これで良いじゃろう?」
昔言われた言葉と...いま...聞いた言葉が...重なって聞こえた...それに...白蛇が今...我に向かって微笑んだ気がした...
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作者名：のうな | 作成日時：2023年7月26日 0時
